起業・スタートアップのための
シリコンバレーの企業紹介 アプティブ(Aaptiv)2

2021/01/22

アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。今回は前回に続き、アプティブ(Aaptiv)について、将来の起業家・アントレプレナーとともに、さらに詳細に見ていきましょう。

起業・スタートアップを目指す方必見!アプティブ(Aaptiv)の沿革とは?

アプティブ(Aaptiv)は、2015年の創業当初は、スカイフィット(Skyfit)というブランド名を使用していました。ランニング、トレッドミルなど4つのカテゴリの30のクラスでスタートしました。当時の価格設定は1週間のお試し期間があり、月額9.99ドルまたは年額99ドルのサブスクリプション型の収益モデルが採用されました。399ドルのライフタイム会員制度もありました。会員数は僅か2,000人でした。

2016年には瞑想などの健康分野に進出し、アプティブ(Aaptiv)にブランド名を変更します。そして、シード・ファンディングで160万ドル、約1億7千万円を調達しました。

アプティブ(Aaptiv)はこの資金を元に、一気に事業を拡大します。2017年にはランニング、ウォーキング、エリプティカル、トレンドミル、ハーフとフルマラソン、階段昇降、減量トレーニング、ストレッチ、ローイング(ボートを漕ぐフィットネス器具)などの分野からなる2,200クラスとなり、毎週50クラスが追加される規模となりました。

プログラムが増えたことから、課金額は月額15ドル、年額100ドルへと値上げしました。トレイナーは僅か16人だそうですなので、利益がいかに増えたのかは想像に難くないです。会員数も約20万人と、2年前と比較すると100倍に急成長を遂げたのです!ユーザーの1ヶ月の平均受講クラスも、4から7へと増えたそうです。ロイヤルティが上昇したことが伺えます。

会員数増加は、口コミに加え、フェイスブックやインスタなどへのターゲット広告であり、安い費用で会員数を急増させた事がVCに高く評価されたそうです。VC経験があり、ウォートンM.B.Aであり、元コンサルだった創業者の経験や才能によるものが大きいと思われます。年間収入も約20億円となりました。

こうした背景から、Insight Venture主導のシリーズAで約13億円、1ヶ月後のBでは約27億円の調達に成功します。

2018年には、ボクシング、インドア・サイクリング、ヨガ、マタニティー・トレーニングが追加されました。さらに、アマゾンやディズニー、ボーズなどの大手企業から約21億円を調達します。クラスを増やすためと、世界進出のために、資金調達を続けていくとのことでした。

2019年には、データ・サイエンティストの人数を増やしながら3年間かけて開発してきたAaptive Coachという、食習慣やライフスタイルも提案するAIプログラムも導入しました。20カ国で2,200万回再生されてきたデータを元に、開発されたそうです。

2020年現在は、2,500クラスで、毎週40の新クラスが追加されているそうです。2017年と比べると、ほとんど差はないようです。

将来の起業家・アントレプレナー注目!アプティブ(Aaptiv)の機能と特徴とは?

アプティブ(Aaptiv)では、ユーザーに3つの質問をします。

まずは、目的です。減量なのか、速く走りたいのか、筋肉を強化したいのか、ストレスをなくしたいのかの4つから選択できます。

次は、ユーザーのフィットネス・レベルについてです。運動をほとんどしていない、たまにしている、定期的にしている、アスリートタイプの4つから選択できます。

最後は、場所です。屋外、屋内、ジムの3つから選択します。

プログラムと一緒に流れる音楽も、ダンス、ヒップホップ、インディー/オルタネティブ、ポップなど、細かく選ぶことができます

難易度は3段階、時間は10分単位で選択できます。

最も重要なポイントですが、好みのインストラクターを選ぶことができます。

いつ、どこで、何を、どのぐらいの負荷・距離・カロリー消費で、どのインストラクターで、どの音楽で、どのぐらいの時間行うなど、全てご自分の好みに通りにできるのです。1週間も続けると、お気に入りのインストラクターやプログラムが見つかるそうです。ワーク・アウトの記録はトラッキングでき、お気に入りやTo doリスト機能もあるので、好きなインストラクターによる、必要なプログラムのみを行えるようになるわけです。

上記の多くのジャンルのクラスの中でも、ローイング・クラスが特に人気ということですが、これは、欧米人は大胸筋を誇るからです。筆者が駐在していたイギリスでも、このローイング・マシーンや大胸筋を強化するマシーンは人気で、いつも順番待ちでした。人気のジャンルはよく変わるので、フレックシブルに対応するとのことです。

上記のAaptive Coachのようなアルゴリズムにも力を入れていますが、あくまでも補助的な目的だそうです。人数を削減したそうですが、やはりインストラクターによるプログラムが基本とのことです。

そして、アプティブ(Aaptiv)で最も重要なのは、SNS機能だそうです。ある方が大嫌いなワーク・アウトをこのアプティブ(Aaptiv)で開始した際に、「今日から、ようやくワーク・アウトを始められたわ!」と投稿したところ、数百のいいねと数十のコメントをもらい、勇気づけられたとのことです。SNS大国のアメリカならではのエピソードですが、一人ではない、みんなと繋がっていて頑張れるという意識は、継続には最も必要なのではないでしょうか?

長所ばかりのアプティブ(Aaptiv)ですが、よく指摘される欠点としては、例えばヨガなどで間違えたポーズをしていたとしても、それを指摘してくれるインストラクターがいないという事でした。スクワットなどの基本動作でしたら問題ないですが、確かにそのとおりですよね?

そこでアプティブ(Aaptiv)は、まず200以上の基本の動きを表した画像をウェブページに掲載しました。これでも、何もないよりはましだったわけです。そして、遂に2020年には、バレエ、ヨガ、ピラティス、ストレッチなどの分野で40のビデオ講義を公開したのです。こうした特定の分野においては、今後は動画によるレッスンが増えてくるのではと予想されます。

何度も申し上げているように、日本での起業では米国で流行したものを真似するのが基本なわけですから、日本でもこのアプティブ(Aaptiv)に似ているアプリがあるようです。ある程度の資金調達にも成功しているようです。しかし、日本ではこの分野での競争は、これからだと思われます。なにか差別化できるアイデアをお持ちの未来の起業家や、スポーツ・インストラクターに友人がいる将来のアントレプレナーは、この分野を起業の対象とするのもいいかもしれません。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。