起業・スタートアップのための
シリコンバレーの企業紹介 ベリリー2シニア・女性・学生の起業でも注目のスタートアップ

2020/09/28

アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。

今回は前回に続き、アルファベットのヘルスケア子会社であるベリリー・ライフ・サイエンシズについて解説を進めていきます。

起業家・アントレプレナー注目!ベリリーのパートナー企業は?

ベリリー(Verily)のパートナーは、医療機器業界のトップ企業からなるといっても、過言ではないでしょう。

全米屈指の医療機関で日本の医師ならば誰もが留学したいと思うメイヨー・クリニック、上記のスタンフォード大学医学部とデューク大学医学部、医療機器メーカーでは手術分野のトップ企業であるジョンソン&ジョンソン(J&J)、眼科分野のトップ企業であるアルコン、トップ医薬品メーカーであるファイザーやノヴァルティス、神経疾患病のリーダー企業のバイオジェンなど、これらの名前を知らないと医療従事者とはいえないという企業ばかりです。

これらのパートナー企業が、ヘルスケア分野では不可欠のマウスから人間までのクリニカルテストや、レギュレーションの方法を提供してくれるわけです。これにアルファベットが有するAIや量子コンピューターによる解析技術、クラウド・データベース技術を加えることで、今までのヘルスケア企業が達成できなかったアンメット・メディカル・ニーズの実現を目指しているのです

起業・スタートアップを目標とする方必見!ダボス会議に出席したピチャイ氏が話題にしたのは医療分野でのAI活用について!

2020年1月21日から24日まで、スイスのダボスで世界のトランプ大統領を始め各国政府のリーダーや主要企業の経営者やジャーナリストなど世界の要人が参加する世界経済フォーラム(通称ダボス会議)が開催されました。

この会議に出席したアルファベットのCEOのピチャイ氏ロイターの記事にありますように、今後5〜10年、AIの活用で最も大きな可能性が期待できる分野は医療分野だと強調したとのことです。

セカンド・オピニオンという言葉が、日本でも近年知られるようになりました。癌などの命にかかわる疾患にかかった際には、一人の医師の意見に従って治療を進めることは非常に危険です。優秀な医師であっても、ある治療を盲信している、体調などにより誤診を行うこなど、様々な可能性が考えられるからです。まして普通レベルの医師の場合では言うまでもないでしょう。

筆者にも、親しかった女性が某私立有名病院で日本でもトップ3に入る医学部出身の恐らくK.O.L(キーオピニオンリーダー)である医師に陰性だと誤診された腫瘍が、実は悪性の乳癌だと後日判明したという経験があります。多くの医師の友人のつてを使って奔走し、当時はまだ都立病院にいらした現在京都大学教授であるK.O.Lの先生にまでたどり着き、ステージが進んでいたにも関わらず無事に治療していただき大事には至らなかったのですが、結果論にすぎません。

ピチャイ氏が指摘している診断や治療について専門家(K.O.L)の間でも意見が分かれるという高度な話ももちろんですが、ここにあげたように優秀なベテランの医師でも犯してしまう誤診から身を護るという意味で、このベリリー(Verily)が力を入れている患者データのAIによる診断は、我々患者の将来を明るいものにしてくれるでしょう!

記事にありますように、米議会で本来は医療機関に属している患者データにアルファベット(ベリリー)がアクセスすることに警戒感があるようですが、今まで解説してきましたようにアルファベットは世の中をよくすることを目標としているわけですから問題はないと思われます。他のネット企業と同一視しているのではないでしょうか?

また、ピチャイ氏が数多くのアルファベットのプロジェクトの中でこの話題を選んだことから、いかにベリリー(Verily)を重要視しているのかが、将来の起業家・アントレプレナーのみなさまにもご理解いただけたことだと思われます。

起業家・アントレプレナー注目!バーブ・サージカルの売却とその理由

そして、日経XTECHの記事にあるような衝撃的なニュースが飛び込んできました。以前にご紹介したJ&Jとの合弁企業で手術ロボットを開発していたバーブ・サージカル(Verb Surgical)の株式を、2020年中にJ&Jに全て売却するというものです。

ダヴィンチの特許切れで大きなビジネスチャンスが生まれ、2020年には試作機も完成と報じられていた日経ビジネスの記事にありますように、このタイミングでの売却は驚きでした。

しかし、バーブ・サージカル(Verb Surgical)はロボット手術という観点からはアンメットメディカルニーズの達成に貢献しますが、データ解析というベリリー(Verily)が今後目指していく方向からは外れてしまったということなのでしょう。上述の、アルファベットのピジャイCEOが、医療分野でのAI活用に注目していることを語ったことで、その確信が強まりました。

そして、アルファベットもベリリー(Verily)も、共にお金儲けが目的ではなく世の中をよくすることを目標としているのも理由の一つだと考えられます。

また、時価総額世界第4位のアルファベットの傘下にあるため、通常のスタートアップとは異なり、収益は二の次で長期的視野に立ってビジネス・プランを作成できるという点もあるでしょう。

収益の観点から考えると非常にもったいないと感じないかと尋ねられると答えに迷いますが、ライジング・スターであろうとも目標から外れた分野は切るという姿勢を日本企業も見習っていただきたいものです。起業・スタートアップを目標とする閲覧者の方も、今後もベリリー・ライフ・サイエンシズの動きからは目が離せませんね。

次回からはWaymoについて見ていきたいと思います。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。