起業・スタートアップのための
シリコンバレーの企業紹介 ウェイモ3

2020/10/09

アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。今回はいよいよアルファベットの自動運転子会社のWaymo(ウェイモ)とその沿革、差別化できた要因などについて解説していきます。

起業家・アントレプレナー注目!アルファベットの起業の前提条件とウェイモ設立の経緯

第1回目の記事で紹介しましたように、アルファベットが自動運転技術に興味をもったのは、DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)主催のロボットカーレースにおいて初めて市街地を想定したコースが設定された2007年の第3回目の大会に、当時のグーグルCEOペイジ氏が訪れたことがきっかけです。

そして2009年に、将来の起業家・アントレプレナーであるみなさまの中にもお使いの方もいらっしゃるであろう、グーグルのストリート・ビューの開発者、ハーバードと並ぶ名門スタンフォード大学のAI研究所出身のエンジニア、上述のDARPAグランドチャレンジ出身者などからなるエンジニアにより、自動運転プロジェクトが開始されました。

ロボット手術企業バーブ・サージカル(Verb Surgical)設立時には画像診断分野で長い経験を持つCEO、ダヴィンチ(da Vinci)を開発したSRIインターナショナルのロボット部門のNo.2といえるトップエンジニア、ジョンソン&ジョンソン医療機器子会社のエチコン(Ethicon)のエンジニア、グーグルのAI(ディープラーニング)エンジニアからなるチームが形成されました。

このようにアルファベットは、参入する分野のトップクラスの人材をまず集めてから、プロジェクトをスタートすることを前提条件としているようです。起業・スタートアップを目指すシニアや女性などのみなさんも、是非見習っていただきたいと思います。

起業・スタートアップを目標とする方必見!自動運転におけるディープ・ラーニングの重要性

それではここで、ディープ・ラーニングについて触れていきましょう。ディープ・ラーニングという言葉は、AIについての文献を読んでいると目にすることが必ずあると思われます。

ディープ・ラーニングは、日本語では深層学習と訳されます。人間の行動をコンピュータに理解させる機械学習ですが、人間の神経細胞を模したシステムがベースとなっています。

自動運転においては認識が重要であり、人間が運転の際に認識している標識、車間距離、横断歩道や小道からの歩行者や自転車、右側車線が渋滞していた場合にはその車線からの車の飛び出しなどの運転する際に予想される様々な危険回避事例をAIに学習させるわけです。

こうした運転時のデータを多量に蓄積し(ビッグデータ化)、その特徴を深く学習することで、運転における人間の認識精度を超えることを目指しているわけです。

夢物語と思われる方もいるかもしれませんが、囲碁やチェスの世界チャンピオンをコンピュータが破っている事実を考えると十分可能と思われる方もいらっしゃるでしょう。未来の起業家・アントレプレナーであるみなさんはどちらでしょうか?

このように、アルファベットは、AIによるディープラーニング技術で自動運転認識精度を高めることを目標としていますので、自動運転車を開発してもデータ収集のために公道を走れなくては意味がありません。そこで、公道での自動運転車の試験走行が必要だという結論になるわけです。

起業家・アントレプレナー注目!Waymo(ウェイモ)の公道での自動運転実験の推移

そのため、アルファベットは公道での自動運転車の走行実験を認めてもらうために、ロビー活動を開始します。まず選ばれたのは、ネバダ州でした。砂漠地帯で鉱業以外の産業がほとんどなく、ラスベガスに象徴されるカジノを公認することで生きながらえているためです。2011年には、同州で、自動運転の実験走行が可能となる法律が可決されました(2012年施行)。そして、2012年にはフロリダ州とカリフォルニア州でも実験走行が認められました

2011年には自動運転車として初めてのナンバープレートが付与され、2012年から上記3州の公道で走行が開始されました。

そして2018年には実験走行距離は800万キロメートルにも達し、アリゾナ州の州都であるフェニックスで、限定地域のみですが、自動運転での配車サービス(Uberのような日本でいうところの白タク)の運用が開始されるまでにその技術は発展を遂げました。しかし、助手席に人間が同乗しているレベル3でのサービスとなっています。

上述のように、全世界に先駆けて公道での自動走行実験を行ってきた世界最高レベルのWaymo(ウェイモ)でさえまだレベル3の段階ということであり、完全自動のレベル4までの道のりはまだ遠いのではと思うのですが。

起業・スタートアップを目指す方必見!Waymo(ウェイモ)のロボットカーとは

Waymo(ウェイモ)のロボットカーには、グーグル・ショーファー(ショーファーはお抱え運転手という意味)というAIソフトウェアが搭載され、自動運転に必要なデータを収集・解析し、運転操作命令が出されます。人間の脳と似た機能と考えていただければ分かりやすいでしょうか?

レーザーカメラやセンサー、レーダーを搭載して周辺車両や歩行者を含めた障害物、信号や標識や車線を識別し、車両周辺の詳細な3Dマップを作成、こうした収集情報をグーグルマップと照合しながらAIが解析し、自動でハンドル、アクセル、ブレーキを制御するわけです。

最も重要な事故予測能力に関しては、2012年からの公道実験で蓄積された情報をいわゆるビッグデータ化することで、人間や車両の次の行動を予測することを目指しているそうです。

さらに、公道での予測できない歩行者や自転車の飛び出し、センサーの性能を鈍化させる予期できない悪天候などをビッグデータ化するためには、VRやAR技術を用いて仮想世界での自動走行でデータを収集しています。

また、公道での今までの自動走行実験での成果、アルファベットの概要で触れたディープ・マインドというAI子会社の専門知識を活用できる事などを考慮すると、Waymo(ウェイモ)とアルファベットがこの分野で世界の最先端であることは間違いがないでしょう。

しかし、グーグルマップという地図に頼っているため、地図への依存度が高く、地図が変更になると精度が下がることになります。そのため、走行可能地域は限定されていることとなります。

このように、まだまだレベル3という自動運転ですが、レベル4もすでに視野に入ってきているのかもしれません。そして、こうした世界最先端分野におけるニッチな領域での起業・スタートアップこそ、みなさんが目指すことなのかもしれません。アルファベットのような大企業が買収をしてくれたり、いつのまにかユニコーン企業になっている可能性もあるでしょう。

次回からはLoonプロジェクトについて解説していきたいと思います。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。