起業・スタートアップのための
シリコンバレーの企業紹介 ウイング(Wing)2

2020/10/30

アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。今回は、Wing(ウイング)プロジェクトの沿革や歴史、将来性について将来の起業家・アントレプレナーであるみなさんと見ていきましょう。

起業家・アントレプレナー注目!Wing(ウイング)の沿革と歴史

Wing(ウイング)は、前々回まで紹介してきたルーンなどと同様に、Xプロジェクトの一つとして始まりました。アメリカ、オーストラリア、フィンランドに拠点を構えています。

食品や薬まであらゆるものを迅速に安全に運ぶために、2012年から数万回のテスト飛行を行ってきたとのことです。心臓麻痺を起こした患者に対応するための機器の運搬なども目指しているところが、世の中の役に立ちたいというアルファベットの子会社らしいですよね。

最初の実試験飛行は2014年にオーストラリアで実施され、ファーストエイド・キットやドッグフード、キャンディーなどが運ばれたそうです。そして2016年にはヴァージニア・テックの大学生にブリトーを届けたそうですが、当時としては最も長距離のドローンでの運搬だったとのことです。また、崩れやすく、冷めたら不味くなるブリトーを、すばやく、バラバラにならずに運搬できたことが高く評価されたようです。

ベストなルートと置き場所をどうやって探すかがゴールとなっているとの事で、将来が楽しみですね。そして、2018年には遂にXプロジェクトからの卒業を果たし、アルファベットの子会社となりました。

2019年1月にはテスト・サイトにおいて、ファースト・フードのテイク・アウトの食品や飲料の配送を開始しました。そして、4月には航空保安行政を司る米国連邦航空局から、航空会社としてのライセンスを取得した最初のドローン配送会社となりました。

10月には、ヴァージニア州での試験運用ですが、一般家庭向けのドローン配送を開始し、ドローンで一般家庭の玄関口への商品の配送に成功しました!商品の入ったバッグがドローンからワイヤーで降ろされ、玄関口に届けられたとのことです。

Wing(ウイング)はアマゾンやウォルマートとは異なり、商品販売は行っていません。そこで、小売企業との提携が必要となります。チームを組んだのはWalgreensという日本でいうとマツキヨのような、米国では誰もが知っているドラッグストアですが、イギリスを始めとするコモンウェルス圏ではよく目にするBootsと合併したことにより、実は世界最大のドラッグストアチェーンとなっています。Walgreensの商品をWingのドローンが一般家庭に届けたということで、欧米では話題となったそうです。配送されたのは、咳止めセットでした。

注文は専用アプリから行うのですが、なんと、注文から数分で届くとのことです。

起業・スタートアップを目標とする方必見!アマゾンの動きは?

宅配サービスといえば、日本でもアマゾンが起業・スタートアップを目指す閲覧者の方だけでなく、一般の方にもおなじみとなっています。筆者も前回紹介しましたように、このドローン宅配の分野ではGAFAの一角であるアマゾンが当然先駆者だと思っていたわけです。しかし、実際は上記のとおりで、Wing(ウイング)が追い抜いてしまったようです。

アマゾンもドローンによるテスト飛行を2019年12月からボストン地域で始めたそうですが、当初の2015年開始という計画からは大きく遅れてしまった印象ですね。Amazon Prime Airと呼ばれるサービスで英語ですが、添付のサイトで動画を閲覧できます。

30分以内に商品が届くとのことです。2019年に発表された最新型のドローンは、垂直離陸後は飛行機型で水平飛行となり、GPSとAI、レーザー技術を使用して場所を特定し、障害物を避けるそうです。まるでWing(ウイング)と同じことを言っており、その優位性を認め、同様な技術を開発することになってしまったようです、

アマゾンが本業の宅配分野においてアルファベットに遅れをとってしまったのは、やはりアルファベットがAI、レーザー、地図などの技術において自動運転、気球など様々なプロジェクトで多くのテストを実施し、トップの技術力を誇っているからでしょう。

このアルファベットの、各子会社が持つ独自技術をあらゆるプロジェクトでテストすることによるシナジー効果は、他社が真似できない長所となってきたといえるのではないでしょうか?

起業家・アントレプレナー注目!将来のWing(ウイング)はどうなるか?

以下については、起業家・アントレプレナーを目標とするみなさんは、あくまでも筆者の私見としてお読みください。英語の記事にも掲載されているわけではありませんので。

上記のように、今回のドローンの個人宅への試験飛行においてWing(ウイング)は、Walgreensと組まざるを得なかったわけです。しかし、将来的にドローン宅配に力をいれていくとすると、既存小売企業のM&Aを考えるのが当然でしょう。

既存小売企業の存在はアマゾンにより脅かされています。起業・スタートアップを計画している読者ならご存知の通り、企業の価値を示すのは株価ではなく時価総額(Market CAP)です。

添付のサイトから見て取れる通り、Walgreens のマーケット・キャップはBootsと合併した2015年8月の約950億ドル(約10兆円)から2020年8月の約380億ドル(約4兆円)と5年で半減以下となっています。反対にアマゾンの時価総額添付のサイトにある通り2015年12月の約317億ドル(約3.5兆円)から2019年12月の約917億ドル(約10兆円)と4年で約3倍となっているのです。2020年の新型コロナウイルスの影響でアマゾンの株価はさらに上昇し、この差はさらに開いていることでしょう。

Walgreensは買収するには高すぎるかもしれませんが、中堅企業ならアルファベットの財力から考えると十分に買収対象となりうるでしょう。そして、アマゾンにとって皮肉なことに、実店舗を持つ小売企業の時価総額はアマゾンの存在により減少を続けており、アルファベット=Wing(ウイング)にとってはM&Aを仕掛けやすくなっているわけです。

日本でも早くWing(ウイング)による自動宅配が行われるのを期待したいところです。

しかし、アルファベットのおかげでここまで自動化技術が進歩してくると、ロボットが人間の仕事を奪ってしまうというSF小説にあったストーリーもいよいよ現実化しそうですよね。

次回はMakaniについて解説していきます。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。