海外企業紹介

起業・投資のためのシリコンバレーの企業紹介
バーク(Bark)

掲載:2022/6/23

最終更新日:2022/06/23

※記事の内容や肩書は、講義時のものです

アタッカーズ・ビジネススクールの、投資・副業・起業を目指すミレニアル世代・シニア・女性等への起業のアイデアとなる、シリコンバレー等の注目企業紹介のコラム。今回はペット向けサブスクリプションサービスの注目企業バーク(Bark)について解説します。

バーク (Bark)の資金調達の経緯と株価

バーク(Bark)は、愛犬家が多い米国ならではの、犬用のおもちゃやキャンディを毎月送付してくれるサブスクリプションサービス運営企業です。長い間その商品名であるバークボックス (Bark Box)として親しまれてきましたが、2021年11月にバーク(Bark)に社名を変更しました。

現在まで6回のラウンドで約300億円を調達しています。2012年の2回のシリーズAで約3億円、13年のシリーズAで約5億円、14年のシリーズBで約17億円を調達すると、市場価値は急増します。16年のシリーズCでは約70億円を集めました。

そして、2020年12月にスパーク合弁でNY証券取引所に上場を果たし、市場価値は約1,700億円となりました。グーグルによると、2022年3月の株価は一昨年12月上場直後の3割ほどにまで下落しています。

バーク(Bark)の概要と沿革

新型コロナウイルス流行下で犬の保護シェルターが空となる中で、バーク(Bark)は養犬探しサイトの「ペットファインダー」と並んで大人気となりました。CDC(米国疫病予防管理センター)も、「ペットは癒やしを与えてくれる」と表明しています。ペット愛好家はお金を厭わないというのも、その成功の秘訣でしょう。

商品は、楽しみ(ファン)、フード、健康(ヘルス)、ホームという4つの分野に分かれています。ウェブサイトからの直接購入だけでなく、全米約2万ヶ所の小売店での単品での購入も可能です。

犬は犬種により個性や好みも異なるので、毎月のおもちゃやおやつを選べるよう工夫されています。

同社のプレスリリースにあるように、2022年2月発表の10~12月決算では売上が約160億円と34%成長し、37万ものサブスクリプションが追加され合計230万となったそうです。D2C という消費者への直接販売が大きく伸びています。

しかし、小売部門の成長も期待されます。世界最大のスーパーマーケット・チェーンを擁するウォルマートと提携し、全米の2800の店舗とそのウェブサイトでも商品購入が可能となったからです。赤字も約16億円と前年同期の約30億円から半減しました。

バーク (Bark)は、2011年にニューヨークで創業され、翌年に「バークボックス」というおもちゃやおやつが箱詰めされた商品をローンチします。

2014年には、「バークカム」 という犬とオーナーのためのインスタグラム上で機能する写真共有アプリをローンチしました。売上も月額1億円まで達しました。

2019年には健康分野商品ラインである「バークブライト」の最初の商品である歯磨きセットの「バークデンタル」をリリースしました。

2020年には犬用の健康食品デリバリーを開始しました。さらに、犬とのマッチングアプリもリリースし、上場へと繋がりました。

バーク(Bark)の商品

バーク(Bark)の商品としては、まずはファン分野の上述のバークボックスが挙げられます。毎月のテーマに沿って送付されてくる最低でも2つのおもちゃとチューズというグミのような柔らかいキャンディやお菓子からなります。同社によると、毎月23ドルだが、40ドルの価値があるそうです。

おもちゃは、米国で人気のウサギのキャラクター、バッグスバニーを模したものなど様々で、ユニークなものが人気のようです。

健康用品分野は、バークブライトと呼ばれています。3種類の酵素入り歯磨き粉と歯磨き用のスティックからなる「バークデンタル」は口臭を防いでくれます。「なんで今までなかったの?」という印象なのですが、タイムズ紙の2019年の最高の発明品などの賞を獲得、高く評価されました。

ホーム分野製品ラインの「バークエッセンシャル」は、記憶形状ベッドやシーツなどの日用品です。ベッドは30ドルですが、記憶形状のため特に病気や年取った犬の体重による痛みを軽減してくれます。表面にクールジェル部分があるので、犬の体温上昇を防いでくれるそうです。防水で、ベットカバーは洗濯機で洗えるなどよく考えられており、4千以上のレビューで4.3ポイントの高評価を獲得しています。確かに、値段も安いですし、あったら便利なので買っちゃいますよね?

「バークイート」は、4つの分野の中のフード製品ラインです。2020年に開始された健康食品のデリバリーサービスです。痛みからオナラまで愛犬の症状を健康専門家に相談すると、犬毎の状態に合ったサプリメント入りのドッグフードが28日分毎月届けられるそうです。

「バークポスト」は、愛犬家と交流できる犬がテーマのウェブサイトです。

「バークバディ」は、「ティンダー」の犬版、デート相手ではなく犬と出会える愛犬家と犬とのマッチングアプリです。豊富な写真と、犬の種類、性別、サイズ、住んでいる場所、年齢などから犬を選ぶことができます。スワイプして好みの犬を選んでいくと、嗜好にあった犬のみが掲載されるようになっていくそうです。これならマッチング度は高そうですよね?全米とカナダのシェルターと上述のペットファインダーと提携しており、30万匹もの犬と出会うことができます。

ペットファインダーの概要

ちなみにペットファインダーとは、北米で展開するペット引取オンラインサイトです。犬、猫が殆どですが、爬虫類や熱帯魚まで何でも扱っています。チョコーレートでおなじみのネスレの子会社が所有する、1996年創業の歴史のあるサイトです。

ペットの安楽死を阻むための「ペットファインダーファウンデーション」を設立したり、2005年のハリケーン・カトリーナがニューオリンズ州を襲った際には、ペットのためのデータベースを整備、23,000匹のうち3,000匹は持ち主に返還するなど素晴らしい企業です。

「ディスカバリーチャンネル」や「アニマルプラネット」を放映する企業の買収も行い、まさにペット界になくてはならない存在です。

こうした信頼できる企業とも提携できている点がバーク (Bark)の強みでしょう。将来の起業をされる方で愛犬家や愛猫家は、このバーク (Bark)のような企業を設立してみてはいかがでしょうか?また、犬好きの米国株投資家にも、近年の業績は好調なので、まだ赤字ですが、おすすめできる企業です。

著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。

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