起業・スタートアップのための
シリコンバレーの企業紹介 Blinkist(ブリンキスト)
掲載:2021/1/12
最終更新日:2021/01/12
※記事の内容や肩書は、講義時のものです
アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。今回はブリンキスト(Blinkist)について、将来の起業家・アントレプレナーであるシニア・女性・若年層のみなさんと共に見ていきましょう。
起業・スタートアップを目指す方必見!ブリンキスト(Blinkist)とは?
ブリンキスト(Blinkist)は、前回ご紹介したサムリー(Summly)と同じく、要約アプリです。正式名称はBlinks Labs Gmbhで、その名の通りドイツの会社です。4人の仲間により、ベルリンで2012年に創業されました。社名は瞬きという意味であるBlinkから取られました。現在ドイツ語と英語に対応しており、600万人のユーザーを抱えているそうです。
共同創業者のセイム氏によると、読みたい本をすべて試してみることはできないという世の中の不満を解消するために、設立されたそうです。本を買うべきかどうかを判断する材料になるというのが、目標だそうです。世の中の役に立つために起業したこの姿勢を、起業・スタートアップを目指す閲覧者の方もぜひ見習っていただきたいです。
時価総額は明らかにされていませんが、現在までに約38億円を調達しており、イグジットもIPOも目指せる立派な成功企業といえるでしょう。
ブリンキスト(Blinkist)が対象にしているのは、ノンフィクション作品です。ヘビー・ユーザー向けであり、他の言語への拡大も目指しています。最新ベストセラーを中心に、毎月40本程度の要約をローンチしているそうです。
ブリンキスト(Blinkist)の要約は、読むことも、聞くこともできます。ブリンクスと呼ばれる10~15個の要約から構成されています。15分で全部を読むまたは聞くことができるということを売りにしています。結論である最後のブリンクスだけ読めば、さらに時間を節約することができます。
起業家・アントレプレナー注目!ブリンキスト(Blinkist)にとってアマゾンは競合なの?
アマゾンには、ユーザーの5つ星の評価と数行のコメントが並んでいます。一見、競合のようにみえますよね?しかし、本を売ることが目的のアマゾンと異なり、ブリンキスト(Blinkist)のそれは、本を買うべきかの判断を与えるというものです。従って、どちらかというと補完関係にあり、ブリンキスト(Blinkist)を通じてアマゾンで書籍や電子書籍を購買するケースも多いようです。
確かにアマゾンの評価は素人のものであり、数行に過ぎないので、あまり当てにならないですよね。本についてはわかりませんが、サクラの存在も問題になっていますので。というわけで、アマゾンは競合とは見られていないようです。実際、半分以上のユーザーが、ブリンキスト(Blinkist)のおかげで、より多くの本を読むことができたとアンケートに答えているとのことです。
起業・スタートアップを目標とする方必見!ブリンキスト(Blinkist)の特徴と可能性とは?
ブリンキスト(Blinkist)の特徴は、人の手によるものだということです。前回解説したサムリー(Summly)のように、翻訳や要約などのアプリは、AIを活用したものがほとんどです。実際にこうしたアプリをお使いになられた起業・スタートアップを目標とするスクール生の方々ならお分かりでしょうが、残念ながらその機能は十分とはいえません。ブリンキスト(Blinkist)は、編集者のネットワークを活用し、あえて人の力による要約にこだわっているのです。結果として、信頼できる高品質な要約という評価を得たことが、成功の要因だと思われます。
また、ブリンキスト(Blinkist)には、要約だけでなく、概要、該当本の意味や言わんとする事、そして作者紹介もあります。該当書籍についての十分な情報が手に入るといっても、過言ではないでしょう。そして、アマゾンのレコメンド機能のような、類似本の紹介もしてくれます。
無料版では、毎日オススメの1冊の要約だけを読むことができます。有料版(1週間が無料のお試し期間で、その後は年間だと$79.99、月毎だと$19.99)では、あらゆるカテゴリーの2,500冊以上の要約をすべて読むことができます。そのジャンルは子育て、教育などの生活に役立つものもありますが、自己啓発、コミュニケーション、マネージメント、キャリア育成、モティベーション向上、マーケティング、投資などビジネス向けのものが多いです。無駄な時間など一切ないという、多忙で有能なビジネスマン向けのアプリといえるかもしれませんね。
ブリンキスト(Blinkist)のビジネスモデルは、上述のような有料会員モデルです。ユーザーが使い続けてくれないと収入が発生しないのです。そのため、セイム氏は、どの本を追加すればよいかの見極めが重要なのだとコメントしています。しかし、良質の編集者ネットワークがあるため、それほど大きな失敗はないとのことでした。
近年は、やはりオーディオ版の人気が高いようです。残念ながらブリンキスト(Blinkist)には日本語版がありません。ノンフィクション本にはネイティブでないと分からない単語が頻発するので、日本人には聞くのは難しいかもしれません。速度調整機能があるので、まずは文字版で単語を調べてから聞けば、英語の勉強になるかもしれないですが。
また、分からない単語をクリックすれば別タブで表示されるような機能があれば、有り難いのですが。グーグル検索では、最近単語の上にカーソールを載せると単語の意味が表示される機能が、英語版ではテストされているようです。日本語版は、残念ながらまだ時間がかかるのではないかと推測されます。
ブリンキスト(Blinkist)のようなビジネスモデルならば、模倣も可能ではないでしょうか?未来の起業家・アントレプレナーのスクール生の方は、これに何かを肉付けしてみて起業するのもありかもしれません。
次回は睡眠・リラックスアプリのカーム(Calm)をご紹介します
著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。
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