起業・投資のためのシリコンバレーの企業紹介
ブロック(Block)
掲載:2022/7/7
最終更新日:2022/07/07
※記事の内容や肩書は、講義時のものです
アタッカーズ・ビジネススクールの、投資・副業・起業を目指すミレニアル世代・シニア・女性等への起業のアイデアとなる、シリコンバレー等の注目企業紹介のコラム。今回はモバイル決済企業ブロック(Block)について解説します。
ブロック(Block)の資金調達の経緯
ブロック(Block)は、つい最近までSquare(スクエア)として知られていたデジタル決済企業です。日本法人も存在し、非常にしっかりとした日本語ウェブサイトもありました。創業者でツイッター設立者でもあるジャック・ドーシー氏が盟友のイーロン・マスク氏と共にブロックチェーンへ傾倒しており、社名変更に至ったようです。なお日本法人の社名はSquareのままで変更はありません。
2009年にシリーズAとして約10億円を調達、11年にシリーズBで約30億円、シリーズCで120億円を調達し、軌道にのりました。2012年のシリーズDは約240億円となっています。その後も2014年に約300億円と、8回で約700億円を集めています。
そして、2015年11月にニューヨーク証券取引所に上場を果たしました。
2020年にはテスラと同様にビットコインに投資をしたことが、欧米では話題を集めました。最初は資産の1%だったようですが、翌年には3倍以上の追加投資をしました。
現在の株価についてはロイターを御覧ください。
ブロック(Block)の概要と沿革
ブロック(Block)は、かつての社名だったスクエア(正方形)型の小さなカードリーダーをスマホにつけるだけでモバイル決済ができる画期的なサービスを展開する企業です。その小型の機器はキャッシュレス決済ができる上にPOS端末ともなるのです。現在はサンフランシスコに本社を構えており従業員は5000人、2021年の売上は約2兆円にまで成長しています。同年12月にブロックに社名変更しましたが、商品名はスクエアのままです。中小企業が簡単にキャッシュレス決済サービスや売上・顧客管理システムを導入することができるようになったわけで、世の中への貢献度は計り知れないですね。
米国の他にはカナダ、オーストラリア、英国、アイルランド、日本に展開しているようです。日本はスルーされることが多いのですが、他社と異なり、非英語圏では欧州ではなく日本を選んでくれたのは、非常に嬉しいですね。
他にもユーザー間で送金ができるキャッシュアプリや後払いのアフターペイなどの商品があります。
Square(スクエア)は、2009年にツイッター創業者のジャック・ドーシーら2人が、故郷のミズーリ州セントルイスで起業しました。しかし、プログラマー不足となった地元からのクレームでサンフランシスコに移転しました。
翌年に最初のカードリーダー製品をローンチします。その形状が、どんぐり状の木製のオリジナル案から白のプラスチック製の正方形となったのは、デザイン重視のアップルの影響のようです。
iPhoneとアンドロイドOS端末に対応しており、スマホユーザーであれば誰でもキャッシュレス決済をできることになり、一気に注目されました。2012年にはカナダに進出するなど、順調に成長していきます。
2013年には従業員が600人と2倍になり、1000人が収容できる新本社に移転しました。また、「Square Cash」という個人間の資金転送アプリをリリース、2015年には企業向けも発表し、「$キャッシュタグ」として知られる特徴的なユーザーネームが使えることが注目されました。2018年にはビットコインの売買ができるようになりました。
2018年にはオフィスへのフードデリバリーサービスの「Zesty」とレンタルサーバーの「Weeby」を、2019年には「Eloquent Labs」 、2020年には「Dessa」という2つのAI企業を買収しました。
2021年には音楽と音楽ビデオ配信の「Tidal」の過半数の株式を買い占め、全米では大人気のラッパーJay-Zが役員会メンバーとなりました。そして、ツイッター創業者のドーシー氏がCEOを辞任すると共に、社名を「ブロック(Block)」に変更しました。
2022年1月には小規模店舗が購入した商品を後払いできるオーストラリア企業の「Afterpay」を買収しました。このように、ブロック(Block)の商品は実は様々なジャンルに渡っているのです。
ブロック(Block)の商品
Square(スクエア)は、中小企業向けのクレジットカード決済兼POS(ポイント・オブ・セール)端末です。
モバイル用キャッシュレス決済端末は、日本でもカフェなどでも使われるようになっているので、皆さんもご存知だと思われます。クレジットカードやアップルペイなどで現金を使わずに決済できるので、米国では欠かせない機能です。Square(スクエア)は、これにPOSが加わっています。POSとは、商品を販売した時点におけるさまざまな情報を管理するシステムを指します。詳細はNECによる記事を参照ください。
このように、かつては大規模なシステムが必要だったPOSが、Square(スクエア)により中小企業にも身近になったわけです。Square(スクエア)がなぜここまで急成長してきたかは、みなさんにもご理解頂けたのではないでしょうか?
小型で四角い従来の小型の「Squareリーダー」に加えて、暗証番号入力からレシート印刷などに対応した本格的な「Squareターミナル」もあります。
「Cash App」は「Square Cash」から名称が変更になった資金転送アプリです。2020年末時点で3600万人ものアクティブユーザーがいるそうです。ビットコインの売買が可能になり、人気となったようです。デビットカードも発行、保護者の承認があれば13歳から基本的な個人間の送金を可能にしました。金融分野に力を入れていく事が伺えます。
「Afterpay」は新型コロナウイルスでブームとなった、買収したオーストラリア企業の商品です。ショップやウェブでのショッピングにおける後払いシステムで、顧客は代金を2週間毎に4回に分割して支払います。利息は無料ですが、支払えなかった場合には約1000円の課徴金が発生します。また、お店からは約4.2%の手数料を取得します。顧客が支払不能になるというリスクがあります。
上述の「Weebly」はサーバー運用サービス、「Tidal」は音楽・動画配信サービスです。
ブロック(Block)が、なぜこのようにビジネスを多角化しているのかまでは分かりません。しかし本業においては、中小小売店や飲食店のビジネスを劇的に変化させる可能性があります。費用をかけずにキャッシュレス決済システムを導入できるだけでなく、今までいい加減に行っていた顧客管理や売上管理、在庫管理を行うことで、売上増につながるのではないでしょうか?
世の中の役に立つ、ゲームチェンジャーとなる製品を提供する企業として、今後も注目していきたいですね。
著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。
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