起業・投資のためのシリコンバレーの企業紹介
オキュラス(Oculus)

2022/01/24

アタッカーズ・ビジネススクールの、投資・副業・起業を目指すミレニアル世代・シニア・女性等への起業のアイデアとなる、シリコンバレー等の注目企業紹介のコラム。今回はオキュラス(Oculus)について解説します。

メタバース(Metaverse)とその将来性

オキュラス(Oculus)は、フェイスブック傘下のVR(バーチャル・リアリティ/仮想現実)/AR(複合現実)用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)開発企業です。起業を目指している閲覧者の方も、フェイスブック創業者のザッカーバーグ氏が、SNS企業からメタバース(Metaverse)企業への転身を図り社名変更もし、EUで1万人を雇用するなどの記事をご覧になられたのではないかと思います。そこでまずは、メタバース(Metaverse)とその将来性について触れておきましょう。

メタバース(Metaverse)の概要については、ウィキペディアを御覧ください。一言でいうとインターネット上の仮想空間を指し、自身の分身であるアバターで他人と繋がるという構想自体は新しいものではありません。言葉だけが一気に流行し始めたというところでしょうか?

15年ほど前には、海外ではセカンドライフという企業が同じようなコンセプトで注目を集めました。仮想空間上でアバター同士が交流し、不動産などを売買するという、まさに現実世界と同じ空間を作成するというもので、日本でもウェブ業界においてはよく知られた存在でした。ライブドアでは堀江社長が当時人気だった自己のブログにアバターを登場させ、2009年にはサイバーエージェントがアメーバピグを開始、芸能人も参加し、話題となりました。

それでは、この過去の流行と今回のメタバースとの違いは何かということですが、それはVRとAR技術の進歩です。これらについては、過去のGoogle Glassの記事を参照ください。前回の仮想空間が流行した際には、VR用のHMDはまだ軍事用に使用されているだけでした。このコラムの閲覧者である将来の起業家の方々は、ほとんどの新技術はまずはDARPAから始まることは、もうご存知のことでしょう。つまり、民生用のHMDはまだ登場しておらず、セカンドライフなどでもパソコンなどの画面を通じて、自己のアバターが他の参加者のそれと交流していたのです。しかし、後ほど紹介する「オキュラスリフト」が登場すると、一気にVRが普及することとなります。

そして、特にゲームにおいて使用されるようになり、米国のゲーマーにとってはもはやメタバースは当たり前のものとなっているようです。ツイッチの記事でご紹介したように、アメリカではeスポーツが一大産業になっているほど、ゲームが流行しています。特にアップルとの訴訟合戦で話題となっているEpic Games(エピックゲームズ)社の「Fortnite(フォートナイト)」は、バトルロワイヤルゲームなのですが、参加者同士がチャットをするなどSNS化しており、既にメタバース(Metaverse)を実現しているそうです。その人気は圧倒的で、2021年のユーザー数は3億5千万人と、アメリカの人口を上回っています。日本ではあまり知られていない存在ですが、一人あたり売上はGAFAを上回るなど、親会社であるフェイスブックを除く彼等から競合とみなされているようです。

日本のメタバース(Metaverse)の解説記事を読んでいると、15年前とあまり変わらないというものを見かけるのですが、筆者の意見は異なります。Fortnite(フォートナイト)が既にそれを実現しつつあるのと、フェイスブックが社名を変更してまで、SNSの発展形として他社に遅れをとるまいと必死になっていることが、いくつか読んだ英文記事から伝わってきたからです。

オキュラス(Oculus)の沿革と特徴

それでは、メタバース(Metaverse)の実現に欠かせないVR用のHMD開発企業であるオキュラス(Oculus)について見ていきましょう。

オキュラス(Oculus)のHMDを使用すると、装着者の前後・左右・上下の360度映像を体験できます。ゲームや映画がまるで目の前で展開している感覚で楽しめるわけです。特にワイヤレス型はHMDを装着したまま動くことができるので、まさに仮想現実空間の中にいると体感できます。

オキュラス(Oculus)は、2012年に南カリフォルニア大学のHMDデザイナーにより、ゲーマー向けの安価なものを提供することを目的にカリフォルニア州アーバインで設立されました。

ホラーゲームのソフトウェア企業に気に入られ、2012年の世界最大のゲーム展示会であるエレクトロニック・エンターメイント・エキスポで「オキュラスリフト」の試作品がゲーム上でデモ公開され、注目されます。

開発者用キットの発売で約2億5千万円を集め、2013年に75億円を調達、2014年から15年に開発者用の2製品がローンチされました。

2014年は同社にとって、記念すべき年でした。フェイスブックが約2,000億円での買収を発表、さらにサムスンと提携します。2015年にはフェイスブックと同じメンローパークに本社を移転、ギャラクシーで使用できるSamsung gear VRをリリースしました。そして3DマッピングとAR(複合現実)開発企業のSurreal Visions社を買収し、複合現実への機能拡張が可能となりました。

2016年には50以上のゲームに対応する一般向けの「オキュラスリフト」を発売し、モーションコントローラも加わりました。これにより、一気に仮想現実が普及することとなったわけです。

2017年には中国通信大手のシャイオミとクラルコムと提携したワイヤレスの5.5インチディスプレイとサラウンドサウンド内臓のパソコンが必要でないワイヤレス型の「GO」をローンチ、シャイオミブランドで中国市場にも進出します。

2019年には最後のパソコン接続型となった「リフトS」、「GO」と同じでワイヤレス型の上位機種「クエスト」を発売します。

2020年には10%軽くなった重量500グラムの高画質、高音質、新型プロセッサ搭載で高機能の「クエスト2」が発売されました。コスパも高く、「オキュラスリンク」を通じてワイヤレスでパソコンに接続、パソコン用のゲームやVRソフトウェアを楽しめる旗艦機種です。この「クエスト2」によりVRが身近になり、上述のメタバース(Metaverse)構想につながったといえるでしょう。

そして、2020年のFast社が主催する革新的な製品を対象とした賞を獲得した「Supernatural」というソフトウェアを発売しました。これもアメリカではヒットしているそうですが、ゲーマーでなくともVR体験ができるそうです。「クエスト2」を装着して、例えば世界遺産のマチュピチュにいるかのような感覚で、瞑想やヨガなどができるのです。ただし、ログインにはフェイスブックアカウントが必要となることには批判が多いようです。

このように「Fortnite(フォートナイト)」の大ヒットと、「クエスト2」と「Supernatural」の登場により、メタバース(Metaverse)の実現が可能になってきたといえるのではないでしょうか?アメリカでは、メタバース(Metaverse)はSNSに代わる新たなビジネスチャンスとされているようです。投資・起業を目指す皆さんが、今後目を離せない分野といっても、過言ではないでしょう。

著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。