副業・起業のためのシリコンバレーの企業紹介
ペロトン(Peloton)

2021/10/18

アタッカーズ・ビジネススクールの、投資・副業・起業を目指すミレニアル世代・シニア・女性等への起業のアイデアとなる、シリコンバレー等の注目企業紹介のコラム。今回はペロトン(Peloton)について、将来の起業家・投資家であるシニア・女性・ミレニアル世代のみなさんと共に見ていきましょう。

投資・副業・起業を目指す方必見!ペロトン(Peloton)の概要と沿革

ペロトン(Peloton)は、以前にご紹介したアプティブ(Aaptiv)同様にオンライン・フィットネスで急成長している企業です。Covid19の流行によりこの分野は急成長しており、同社の株価も前年比で4~5倍と急上昇しています。

アプティブ(Aaptiv)は、音声によりインストラクターがコーチングをしてくれるフィットネスアプリでした。動画によるコーチングではなく、音声によるシンプルさが流行の秘密でした。これに対してペロトン(Peloton)の特徴は、トレッドミルやフィットネスバイクの開発・販売に加えて、オンラインでのクラスを提供し、機器に据え付けられたモニターでジムにいるような疑似フィットネスを自宅で体験できることです。

クラスは同社のニューヨークとロンドンのスタジオから配信されています。ライブだけでなくストリーミングもあるので、24時間、365日受講が可能です。50マイルや100マイルを走るウルトラマラソンで知られるロビン・アーゾン、NBAのニューヨーク・ニックスのダンサーでモデルだったアリー・ラブなどのインストラクターの人気に支えられているそうです。

ハードウェアの販売と今流行のビジネスモデルであるサブスクリプションを融合させた点が他社との差別化要因となっています。アプリはアンドロイドとiOSデバイスで使用できるので、バイクやトレッドミルがなくてもパソコンやアップルTVやファイヤーTVからヨガやメディテーションのクラスを視聴できます。

ペロトン(Peloton)は、2013年にフィットネスの本場であるニューヨークで創業されました。約4億円を調達すると、2014年に約25万円の最初のフィットネスバイク「Bike」を発売しました。2015年には4月のCラウンドで約30億円、12月にはCラウンドで約80億円、2017年のEラウンドで約325億円を入手し、潤沢な資金を獲得しました。資産価値は約1,300億円となり、ユニコーン企業の仲間入りを果たしました。2017年には著名書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーブルの元CEOを社長に迎え入れました。

2018年にはさらに約550億円を入手、企業価値は約4,000億円となりました。カナダとイギリスに事業を拡大すると発表しました。同年にはラスベガスのコンスーマー・エレクトロニクス・ショーで約45万円のトレッドミル「Tread+」を発表しました。冬季オリンピックでは同社の人気インストラクターのロビン・アーゾンがオリンピック放映権を持つNBCのパーソナリティを務めるなど、大きな広告戦略に打って出ました。

そして、2019年には約1,200億円を調達し、上場を果たしました。2020年にはCOVID19が流行する中で売上は2.5倍となり供給不安が発生、業務用フィットネスマシーンの大手であるPrecorを買収すると発表、ハードウェアの生産能力を高める戦略に出たようです。さらに、ローエンドモデルのトレッドミル「Tread」とハイエンドのフィットネスバイク「Bike+」を約26万円で発売しました。

起業家・投資家注目! ペロトン(Peloton)の特徴とその商品とは?

ペロトン(Peloton)は、上述のようにトレッドミルやフィットネスバイクを販売し、収益を得ています。1台約20万円と高価ですので、その機器を購入したジムでオンラインクラスに参加される方も多いようです。トレッドミルやフィットネスバイクを持っている会員は月額$39でオンラインクラスを受講することができます。同社のトレッドミルやバイクを保有しオンラインクラスに参加している会員は100万人もいるそうです。フィットネスバイクやトレッドミルを使用しないPCやスマホからのオンラインクラスのみだと他のアプリと同等の$12.99の月会費で会員は300万人とのことです。トレッドミルやフィットネスバイクを販売するための実店舗もあり、まさにオフラインとオンラインをうまく活用してシナジーを得ていることが分かります。

トレッドミルやフィットネスバイクはスピードや負荷を変更することができるのは、従来の機器と同じです。しかし、22インチ、約50センチ(新モデルのBike+は54センチ)のモニターを備えておりインストラクターの画像と声により、オンラインクラスに参加している実感を味わえることがペロトン(Peloton)の一番の強みだと思います。負荷がきつい苦しい場面ではイケメンや美女が多いインストラクターが、「ここからきつくなるから頑張ろ〜!」と盛り上げてくれ、微笑んでくれます。自宅で一人でフィットネスバイクを漕いでいるとやめてしまう場面でも、継続することができるわけです。

クラスにはリアルタイムのライブとネットフリックスのように好きな時に参加できるストリーミング配信と、2種類が用意されています。サイクリング、ランニング、ウォーキングの他に今までカーム(Calm)などで紹介してきたようなメディテーションやヨガ、ストレッチ、カーディオなどもあります。インストラクター、時間、音楽のジャンル、クラスの難易度を選択できるのはアプティブ(Aaptiv)と同じですね。

筆者も以前はジムでヨガやボクササイズなどのクラスによく参加していましたが、好きな先生も嫌いな先生もいました。しかし、自分が行ける日時を優先するため、嫌いな先生でも我慢することがよくありました。また、音楽も、なんでこんな古臭いユーロビートを使っているのかなどと、不満なことが多かったです。それに対して、オンライン・フィットネスでは音楽もインストラクターも自由に選べます。お気に入りのインストラクターができて、そのクラスにより合わせる音楽がUKロックからヒップホップまで選べて、トレーニング時間や負荷も決めることで、今後の医療の世界と同じなのですが、自分に合ったプログラムを作成できるのがこうしたオンライン・フィットネスの特徴であり人気となっている大きな要因の一つだと思われます。

また、筆者はフィットネスバイクを保有していますが、現在では殆ど埃をかぶったままの状態です。ワークアウトは一人で行うには、上記のように強い精神力が必要です。やる気を起こさせてくることが、オンライン・フィットネスのもう一つの大きな人気の要因なのです。アプティブ(Aaptiv)同様に、オンライン・クラスにとりあえず参加することでフィットネスを一度開始できれば、その後は、他の会員との交流や競争で習慣化できるわけです。チャットができて(ペロトンの場合はビデオチャット)、毎回のレッスンの消費カロリー、距離、参加クラスでの順位などを見られるのも、アプティブ(Aaptiv)と同じであり、アメリカ人にとってはこれがモティベーションにつながるわけです。日本人の場合は、順位が低くても別に関係ないとなってしまいそうな危惧はありますが、果たしてどうなのでしょうか?

2021年現在、第1世代のフィットネスバイクの「Bike」は約20万円に値下げされ、 2020年9月にローンチされたアップグレードモデル「Bike +」、ローエンドのトレッドミル「Tread」は約26万円です。「Bike +」は高解像度モニターを備え、新たに追加されたヨガやストレッチのレッスンを受けやすいようにモニターが回転することが特徴のようです。

ペロトン(Peloton)にももちろん競合がありましたが、強力な競合が現れました。筆者も15年以上愛用していますが、日本でも六本木などに店舗を構え、海外ではヨガウェアのトップ・ブランドとしての地位を確立した「ルルレモン」。同社が買収でこの分野に参入したので、脅威となりそうです。

そうはいっても、日本ではまだオンライン・フィットネスは流行していません。ランニングマシーンやフィットネスバイクで黙々とジムで一人でトレーニングを行っている方が多いのは、忍耐強い国民性があるのかもしれません。その一方、皇居でのランニングが流行するなど、みなで楽しもうという方も増えています。起業家・投資家をめざすみなさんは、このオンライン・フィットネスの分野での起業を考えられてはいかがでしょうか?

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。