副業・起業のためのシリコンバレーの企業紹介
スラック(Slack)

2021/11/01

アタッカーズ・ビジネススクールの、投資・副業・起業を目指すミレニアル世代・シニア・女性等への起業のアイデアとなる、シリコンバレー等の注目企業紹介のコラム。今回はスラック(Slack)について、将来の起業家・投資家であるシニア・女性・ミレニアル世代のみなさんと共に見ていきましょう。

投資・副業・起業を目指す方必見! スラック(Slack)の概要と沿革

スラック(Slack)は、同名のIRC(インターネットリレーチャット)と呼ばれるチームコミュニケーションツールを提供する企業です。「LINE」の企業版と考えて頂けるとわかりやすいと思います。日本のウェブ企業では「チャットワーク」が使用されていますが、そのアメリカ版といえば未来の起業家・投資家のみなさんにもご理解いただけるでしょうか?社名はSearchable Log of All Conversation and Knowledgeの略語であり、検索機能が特徴となっています。

スラック(Slack)は、写真共有アプリとして海外では有名なFlickr創業者スチュワート・バターフィールド氏により2009年にカナダのヴァンクーバーに設立されました。現在ではサンフランシスコに本社があります。

バターフィールド氏は、Flickrを2005年にヤフー売却後もトップとして2008年まで在籍、20万人だった会員数を8,700万人まで急増させた実績を誇る起業家です。しかし、写真を通じて世界の百科事典を作るというミッションを支援してもらえず、退職を決めたそうです。Flickrはオンラインゲーム企業でしたが、写真共有のほうがビジネスチャンスがあると考え、ビジネスモデルを変更したそうです。副業・起業を目指す皆さんには、最初のビジネスモデルに固執してはいけないということを、米国で成功した起業家の多くの例から学んでいただければ幸いです。また、ミッションの重要性についてもです。ミッションが達成できないのならば、イグジット後には退社するという決断も必要なのです。

翌年、バターフィールド氏はFlickr時代のメンバーと共に新たなビジネスを模索します。将来の起業家となる閲覧者の方には、新たな起業の際には、新メンバーよりもお互いを知っているメンバーの方がやりやすい、したがって、共同創業者や部下の方々を大切にしなくてはならないと気づいて頂きたいです。

2009年に設立された当初は「TinySpeck」という名前だった新会社は、2011年にオンラインゲームの「グリッチ」をローンチします。その開発中に使用されたツールが元になっています。次のゲームである「Game Never Ending」開発中に失敗を悟り、Flickr創業時と同様にオンラインゲームからチーム・コミュニケーション・ツールへとビジネスモデルを変更したそうです。

ワーキング・グループ内のメッセージとファイルを検索可能にして、ビジネスにおけるeメールの代替となることを目標として開始されました。全体の3分の2がスパムであるビジネス用のeメールを改革しようとしていることから、欧米では「eメールキラー」と呼ばれたそうです。

ITリテラシーの低い日本においても、プライベートにおいて友人とeメールで連絡しているミレニアル世代の方は、もう殆ど存在しないでしょう。中高年の方も、「LINE」を使用し始めています。しかし、ビジネスの社会においては、ITリテラシーの高いウェブ業界では前述のように「チャットワーク」が広く使われているようですが、一般企業においては未だにeメールが主流ではないでしょうか?こうした現状を打破しようとしているのが、スラック(Slack)なのです。

2013年には、待望の製品をローンチします。デモ期間にすでに数百社が参加しており、評判となり、ローンチ初日は約8千社が参加を申し込み、ウェイティングリストに入ることなったそうです。2014年にサンフランシスコに移り、スラック(Slack)に改名しました。

その後2015年には、13万5千人の有料ユーザーを獲得し、約350億円を調達しました。同年末には有料ユーザー約60万人と急増、アクティブユーザーは200万ユーザーとなりましたが、ハッキングされて情報流出が起こり、本人認証を強化しました。

2017年には「テック・クランチ」が主催するコンテストでトップとなり、その後ユニコーン銘柄として一般にも注目されるようになりました。

そして、2020年に「セールス・フォース」に約2兆5千億円で買収されました。その後、シンプルなデザインに変更されました。従業員のプロフィールのディレクトリ検索企業を買収し、検索機能がさらに充実しました。

現在イギリスとアメリカの2つの英語、本国とラテンアメリカの2つのスペイン語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語、日本語に対応しています。B2Cツールでは後回しにされる日本語が使用できるというのは、嬉しいですよね?B2Bの世界では、GDPが世界第3位の日本は無視できない存在なのだと理解できました。日本語版は、在宅勤務や毎日使うなどカテゴリが分かりづらいのが少し気になりましたが。

現在では1日1,200万ものアクティブユーザーを有し、有料プランにはフォーチュン100社のうちなんと65社を含む12万社が参加しているそうです。日本企業では日本経済新聞社やパナソニックのロゴがウェブサイトに見うけられました。ここまで来るとデファクト・スタンダードといっても過言ではなく、eメールを代替するのもそんな遠い将来ではないのかもしれませんね。

投資家・起業家注目!スラック(Slack)の機能と特徴とは?

ユーザーは「ワークスペース」に属し、トピック毎のチャットルームに参加できます。「チャンネル」とよばれる企業内の部課などの組織、プロジェクトチームなどでのグループでのチャットがメイン機能となっています。

「コネクト」では社外メンバーとも繋がれるので、M&Aなどにおいてコンサルティング会社とのプロジェクトチームを組んだ際には、便利でしょう。

また、「セールス・フォース」などの外部ツールが使用できるのが、大きな特徴です。グーグル・ドライブなどでファイル共有もできるので、スラック(Slack)だけあれば他のツールは必要ありません。様々なツールを使用するという煩雑さを、省くことができます。重いファイルでも大丈夫です。

筆者も事業会社在籍時にM&Aを担当しており、コンサルティング会社とチームを組んでいた経験があります。彼等とのファイルのやり取りやメール送信の際には、それぞれ異なるパスワードを入れる必要があったのです。疲れ切った夜半までの作業の中で、なんでこんな面倒なことをしなければならないのかと、非常に不満でした。当時スラック(Slack)を知っていれば、間違いなく使用していたことでしょう。

新メッセージはハイライトされ、バーで区切られるので、迷うことはありません。

ビデオチャット機能も備えているので、このウィズ・コロナの時代には便利です。

サブ・グループを作成すれば、グループ内の繋がりたい人達だけで会話ができます。また、ツイッターなどと同様にダイレクトメール機能で、1対1のメッセージ交換も可能ですし、ファイルを添付できるのが長所です。

ビジネス用ですが絵文字も使用できるので、楽しく仕事ができます(日本企業で許されるかどうかは、定かではありませんが)。

もちろん、iOSやアンドロイドに対応しており、スマホでも使用可能です。

個人向けには最新の1万のメッセージのみが読める無料プラン中心ですが、有料プランもあります。企業用には、好みの仕様にできるスペシャル・パッケージが用意されています。

そして、上述の社名の元となったように、グループ内でのメッセージやファイルが簡単に検索できます。ユーザー名だけでなく、メッセージ内の文章や単語、ファイルでも検索可能です。グーグル同様に、関連性検索もあります。

特に新卒や転職してきた社員が入社した際にはゼロから始めるのではなく、御自分が配属された部門やグループ内でそれまでに起きた事を、やり取りされているメッセージから把握できるという点が素晴らしいと感じました。本来なら数ヶ月かかる組織についての把握が、2週間でできると謳っています。上司やリーダー、各メンバーの仕事の進め方や性格なども、ある程度理解できるのではないでしょうか?

「LINE」で友人だけでなく、飲み会で知り合った人などとグループを作成した経験が、将来副業・起業を目指すアタッカーズ・ビジネス・スクールの受講生の方にもおありでしょう。eメールにはないこうしたオープン性が、スラック(Slack)の一番の特徴と言えるのではないでしょうか?反対にすべてのメッセージが読めてしまうので、プライバシー問題が指摘されていますが、これは便利さと引き換えにより生ずるウェブ業界における宿命のようなものですね。

日本語対応もされており、このコラムで紹介してきた多くの企業とは異なり、日本でもこのスラック(Slack)は近い将来普及が期待できそうですね。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。