副業・起業のためのシリコンバレーの企業紹介
ソーラーシティ(Solar City)

2021/03/08

アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。今回はソーラーシティ(Solar City)について、将来の起業家・投資家であるみなさんと共に見ていきましょう。

副業・起業を目指す方必見!ソーラーシティ(Solar City)とその沿革とは?

ソーラーシティ(Solar City)は、イーロン・マスク氏の従兄弟である2人の起業家によって、イーロンのアドバイスによりカリフォルニア州フォスター市で2006年に創業されました。現在の本社はフリーモント市になります。当初は太陽光発電パネルを生産していましたが、現在はそれに加え屋根のタイルと併用しても違和感のないデザイン性の高い太陽光発電タイルと電気自動車用のチャージャーも製造しています。

将来の起業家・投資家であるみなさんもご存知のように、イーロンは宇宙、インターネット、クリーンエネルギーに関心がありました。テスラ(Tesla)で消費されるエネルギーを、CO2を使用せずに発電・貯蓄できる装置として、太陽光パネルの可能性について説いたのです。

こうした経緯で太陽光パネルの生産を開始、2008年には手付金無しで設置後20年間生産される電気代で相殺されるという家庭向けリース製品をリリースすると、大人気となりました。電気代の負担が減った家庭もあれば、増えた家庭もあり、効率についてはまちまちだったようです。一方、会社の負債は急増することとなりました。

パネルの設置が進み、2009年末までには440MWの電力が生産可能となりました。2011年には買収で東海岸に進出します。そして2013年には、パネル設置数で全米2位となりました。さらに約280億円で競合企業を買収し、2015年には870MWを生産、マーケットシェアも28%となりトップクラスの企業としての地位を確立しました。

2009年には買収で電気自動車のチャージャー・ビジネスを開始、2011年にはサンフランシスコとロサンゼルスを結ぶ国道101号線において、無料でテスラ・ユーザーが使用できるような環境を整えました。要するに、テスラ向けのビジネスを拡大していったということです。2012年にはテスラ本体も同様のサービスを開始、2020年現在全米1,800ヶ所に16,000台のチャージャーが設置されているそうです。菅政権がクリーンエネルギーにシフトしていくと宣言しましたが、日本で電気自動車が普及するためには、こうしたチャージャーの設置が不可欠なのだと理解できました。

2010年には電力の効率化を診断・評価する企業を買収し、ボストンの地銀と組んで電力の効率化を推進するためのローンを共同で開始しました。現在では東海岸全土で実施されているそうです。

2011年には軍の施設を太陽光に代替する約1,000億円の「Solar b」プロジェクトを発表、33州の124の基地で実施されるそうです。バンク・オブ・アメリカなどと組み、ハワイからスタートしました。クリーンエネルギーの推進に関心をもつグーグルやクリーンエネルギーの分野で最大のファンドから約300億円を調達しています。

2013年には「Zep Solar」というパネルとパネルを組み合わせる企業を買収し、現在でも彼等の方式が踏襲されているとのことです。

2014年には「太陽光債権」という債権を発行、200億円を起債しましたが、そのうち90億円はイーロンの「スペースX」社が買い取ったそうです。

そして、2016年に従業員を15,000人から12,000人に減らした上で、テスラに2,600億円で買収されました。テスラの掲げるクリーン・エネルギーの達成というミッションのために必要だったからです。以後、「Tesla Energy」の傘下となります。

ソーラーシティ(Solar City)の場合は、従兄弟のイーロンからテスラのミッションを聞いていたというアドバンテージが有ったわけですが、副業・起業を目指す皆さんは、買収されるためには買収されたい会社のミッションを研究することが重要なのだと、学べたのではないでしょうか?

2017年には人気だったリース方式が負債の半分にまで達していたため中止し、電力の買い切り方式に変更しました。さらに、コストのかかる個人宅への訪問販売を中止し、店舗販売へと転換しました。高コストのディーラーを用いず直販のみとしている、イーロン率いる親会社のテスラの意向であることは明白でしょう。将来の起業家・アントレプレナーである閲覧者の方々には、資金が十分に調達できているのならば、初期にはトップ企業となるための赤字政策は有効ですが、トップグループに入ったのならば利益重視に転換するべきなのだと学んでいただきたいです。

2017年にはナイアガラの滝に近いニューヨーク州バッファローにパナソニックと共同で新工場をオープンし、2018年には売上高は前年の約1,100億円から約1,500億円へと急増しました。太陽光パネルだけでなく、テスラ用の太陽電池モジュールも生産しています。

2019年にはテスラやパネル設置家庭のみでは使い切れない余剰電力を用いて、6つの州で電力の企業への貸出しをスタートしました。2020年時点で発電コストは1Wあたり$1.49であり、全米で最安値だと主張しています。

起業家・投資家注目!ソーラーシティ(Solar City)の製品とは?

太陽光パネル以外のソーラーシティ(Solar City)の製品としては、以下が挙げられます。

ソーラー・ルーフ:既存の屋根への取り付け型ではなく、屋根全体をおおう太陽光パネルです。2016年10月に発表されましたが、後にその際に設置されたパネルは偽物だと発覚し、物議をかもしたようです。2018年に販売開始のリリースを流しましたが、コストが高すぎて断念しました。しかし、2019年に発表されたヴァージョン3が2020年から設置を開始したとのニュースがありました。設置数などは発表されておらず、詳細は不明です。コスト面で困難だという意見が多く見受けられましたが、同じように批判されたテスラの量産を成功させたイーロンの手腕に、期待がかかります。

大規模パネル:2008年にサンフランシスコ最大の太陽光パネルをeBay本社に取り付けました。その後も軍やインテル、ウォールマートなど向けに設置を続けています。

テスラ・パワーウォール・バッテリー:上述のテスラ車用の公道などに設置される充電器です。

他の製品についてはパナソニック製なのかソーラーシティ製なのか、テスラ・エナジー社の製品となっている現在では区別がつきません。テスラ買収後に戦略の転換が有った模様で、第2四半期の住宅向け太陽光パネルの出荷が29MWと、2015年末の250MWと比較すると、わずか10分の1となっています。薄利である家庭用太陽光パネルビジネスからテスラ向けのビジネスへとシフトしたのだと、考えられます。創業者の2人も2017年に会社を去っており、バッファロー工場も主にテスラ向け太陽電池モジュールの生産工場となっているようです。

会社としての存在意義はなくなり、イーロンのクリーンエネルギー達成というミッションの下で家庭用太陽光パネルを作り続けていくことになりそうです。そうはいっても、世界がクリーン・エネルギーへとシフトしていく中で、重要なポジションを占めているのは間違いがないでしょう。今後も要注目の企業となりそうです。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。