副業・起業のためのシリコンバレーの企業紹介
テスラ(Tesla)

2021/03/01

アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。今回はテスラ(Tesla)について、将来の起業家・アントレプレナーであるみなさんと共に見ていきましょう。

起業・スタートアップを目指す方必見!テスラ(Tesla)とその沿革とは?

今まで、起業家・アントレプレナーなら知らない人はいないイーロン・マスク氏について、紹介する機会がありませんでした。ロケット企業のスペースXや電気自動車企業であるテスラ(Tesla)を今更紹介しても、意味がないと感じていたからです。しかし、テスラの時価総額が2020年7月1日、世界1の自動車企業であるトヨタのそれを抜き、バイデン政権も誕生し地球温暖化抑制も促進される事も確実となったので、翻意した次第です。

テスラ(Tesla)は、電気自動車、正確に言うと電気プラグで充電器に接続した電気により走行可能となる二次電池式電気自動車とそのシステム・部品の開発・製造企業です。電池はパナソニックに依存してきましたが、独自開発を目指し、近年は買収した子会社でソーラーパネルや蓄電池も製造しています。

2003年にサンフランシスコ・ベイエリアのサンカルロスで、従来のガソリンで走る自動車よりも優れた電気自動車を製造したいという1990年に出会った2人のエンジニアにより、創業されました。2004年にオンライン決済の元祖であるPayPal共同設立者のイーロン・マスクが主導して約8億円の資金調達に成功、イーロンがCEOに着任し、発展していくことになりました。2005年にはグーグルの創業者のブリン氏やペイジ氏を含む著名経営者から約40億円を獲得し、一気に注目されました。その後も2007年に約45億円、2008年には約40億円と、2009年までには合計で約200億円もの資金を集めました

2004年から開発した「ロードスター」を2008年にローンチし、翌年までにレオナルド・ディカプリオなど環境問題に深い関心を寄せるセレブなどに、約150台の車両を出荷しました。

2010年にはパナソニックと次世代電池を共同開発します。部品の内製化を目指しており、2019年には半導体を自社開発しました。

そして、2020年7月にはトヨタを抜き、時価総額では世界最大の自動車会社となり、12月にはアメリカの代表的な株価指数である S&P500の採用銘柄となり、アメリカを代表する企業の1つとしてウォール街からも認められたのです。

起業家・アントレプレナー注目!テスラ(Tesla)の成功要因とは?

テスラ(Tesla)がここまで成長できた要因としては、以下が挙げられます。

  1. 電気自動車なので環境に優しい:この点がやはり、最も重要でしょう。今まで紹介してきたように、環境問題に深い関心を寄せるグーグルのブリン氏やペイジ氏が出資を決め、注目された理由だからです。
  2. カリフォルニアデザインでお洒落:次はやはりその高いデザイン性でしょう。それまでプリウスに乗っていたディカプリオなどのセレブが、イーロンのセクシーな車を作るという考えに同調し、テスラ(Tesla)に乗り換え、広告塔となってくれたからです。
  3. 高い性能:テスラ(Tesla)は、セダンの「モデルS」でも、実はポルシェと変わらないぐらいの加速性能を持っています。筆者も初めて運転した際には、一気にスピードがでたので驚いた経験があります。
  4. 手頃な価格:日本では高価という印象のテスラ(Tesla)ですが、モデルSの現地での価格はBMW5シリーズなどと変わらぬ価格帯に設定されています。高性能、高デザインで高級車の雰囲気を出しながらも、電気自動車であるのにガソリン車と変わらぬ価格なわけです。
  5. 地球温暖化を防ぐという明確な使命:太陽光発電により温暖化を防ぐという明確な使命を掲げ、上述のように太陽光パネルも子会社で製造しています。ここが、既存のガソリン車も製造するメーカーとの、大きな差別化要因となっています。
  6. ファミリーカーを作るという目標:お金持ちのための高級車メーカーというイメージが日本では強いテスラ(Tesla)ですが、温暖化を防ぐという使命を掲げているため、実はファミリーカーの開発を目指しています。2017年には、3年以内に25,000ドル、300万円以下の車種を作ると宣言しています。残念ながら、昨年は達成できませんでしたが。

このように、性能でもポルシェに負けず、プリウスの倍のエネルギー効率を誇り、オシャレで、環境に優しく、価格もリーゾナブルという、誰もが欲しくなる車が、テスラ(Tesla)なのです。

起業・スタートアップを目標とする方必見!テスラ(Tesla)の製品とは?

最後に、簡単にテスラ(Tesla)が今までに発表してきた車をご紹介しておきます。

テスラ・ロードスター:ロータスをベースとした2人乗りスポーツカー。2008年発売。価格は約1,000万年でしたが予約が殺到し、キャンセル待ちとなったそうです。環境に優しく、燃費の良い電気自動車なのに、スタイリシュでポルシェ911と同等の性能だったので、人気となったのは当然だったようです。2009年には高性能版を約1,400万円で発売しました。10万マイルまでメインテンスフリーというサービスもついていました。

モデルS:2013年発売の4ドアセダンBMW5シリーズやアウディA6など中型高級車の電気自動車ヴァージョンとして乗り換えを狙い、アメリカでは価格は約700万円に設定されました。シートが固く、乗り心地はあまり良くないのですが、1回の充電で650キロ走行可能で、通常では十分すぎる距離を走れます。加速もロードスターと変わらず、最高速度も260キロであり、車高が低く、スポーツカーという印象のセダンです。自動車専門誌からも、高い評価を得ました。また、「コンシューマー・レポート」という、アメリカではあらゆる分野の商品を比較できる歴史ある雑誌では99点を獲得し、「今まで評価した中で最高の車」という最高の賛辞を獲得しました。その結果、2014年9月までには2500台、2015年3月までには1万台販売しました。

モデルX:2012年発売のアメリカで人気のSUVタイプです。3列シートで7人乗りなのですが、往年のメルセデスの名車を彷彿させるガル・ウイングを採用しています。日本で大人気のアルファードと比べても、遥かにスタイリッシュです。

モデル3:2016年発売の廉価版の小型車です。小型車が人気の欧州で爆発的に売れたそうです。

モデルY:2020年発売のモデルXの廉価版です。

新型ロードスター:2021年生産開始予定の4人乗りスポーツカー。価格は2000万円を超えるとのことです。

テスラ(Tesla)の車は、真似をするのではなく、新しいものを創造するという、PayPalやスペースXでのイーロン自身の経験による差別化が成功要因となっています。

環境に優しくステイタスシンボルでありながらも、デザインはセクシーで、駐車場でも注目を集めます。しかし、技術が最も大切とし、ダイムラー、メルセデス、トヨタもその部品を使うなどR&Dに注力しています。販売は直営店のみでディーラーを用いず、独自のサプライ・チェーンを持っています。並行開発などせず、1つの製品に集中します。しかし、多くの人の心を掴むために、プロダクト・ラインは広げているのです。

メイド・イン・アメリカを声高に叫び、政府の補助金を得て、輸送コストを減らし、最大市場である米国国民の支持も獲得しました。優秀な人間を集め、同じベクトルに向けて、1+1=2ではなく10にしています。まさに、イーロンの考え方に沿った、他の自動車メーカーとは、全く異なる存在が、テスラ(Tesla)だといえるでしょう。

また、テスラは自動運転車両の開発にも積極的に取り組んでいます。「オートパイロット」という独自のシステムを開発してきましたが、2016年には白いトラックの後に駐車していたトラックを認識できず、衝突事故を起こしました。2018年には高速道路の分岐点でも事故を起こしましたが、自社開発の高解像度の半導体を開発し、解像度は大きく改善したそうです。渋滞時の自動運転は可能とのことですが、霧や雪などの悪天候には対応できないそうで、センサの改良が必要なようです。

しかし、実は現在では中国にも工場を保有し、従来の現地資本との50:50の共同出資ではなくテスラの100%の出資となっています。この特別措置は電気自動車だからというのが公の理由となっていますが、実はブルームバーグの記事にあるように2017年に中国政府と密接な関係にあるテンセントが出資したことが関係しているようです。

また、次回の太陽光発電の子会社の記事で解説していますが、温暖化防止のための太陽光発電自体には興味がなくなったのか、発電量は落ちてきており、テスラへのバッテリー充電装置製造へと舵を切っているようです。中国では閲覧禁止のグーグルとは異なり、イーロンが本当にアメリカの製造業復活と地球温暖化防止のために奮闘しているのかが、分からなくなってきました。

いかがでしたでしょうか?テスラ(Tesla)の株価は、昨年7倍に跳ね上がりました。この原稿を書いたのが1年前だったならば、筆者も間違いなくテスラ(Tesla)の株を買っていたことでしょう。ここまで他社と異なる会社だとは、思いもよりませんでした。

将来の起業家・アントレプレナーのみなさんも、起業前に、今までご紹介してきた会社で日本でも購入できる会社の株に投資するのも、ありかもしれませんね。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。