起業・スタートアップのための
シリコンバレーの企業紹介 トプシー・ラブス(Topsy Labs)
掲載:2021/2/5
最終更新日:2021/02/05
※記事の内容や肩書は、講義時のものです
アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。今回はアップルが買収した企業の一つであるTopsy Labs(トプシー・ラブス)について、将来の起業家・アントレプレナーであるシニア・女性・若年層のみなさんと共に見ていきましょう。
起業・スタートアップを目指す方必見!Topsy Labs(トプシー・ラブス)の概要と沿革
Topsy Labs(トプシー・ラブス)は、ツイッターや、昨年終了してしまったGoogle+(グーグルプラス)というSNSの投稿検索サービスです。ツイートの内容、ハッシュタグとその数から、現在のトレンドを分析することができます。凄いところは、ツイッターからパートナー企業として公認されていることです。過去の投稿については、ツイッター自身の検索では見つけることができないのですが、Topsy Labs(トプシー・ラブス)を使うと発見できるのです。そのため、ツイッター自身も過去のツイートなどを検索する場合には、Topsy Labs(トプシー・ラブス)を使用するよう推奨しているとのことです。
特定のツイート、ウェブサイト、投稿者、画像や動画について検索することができます。インフルエンサーのツイートや大量にリツイートされた人気ツイートについては、2008年まで遡り検索できるそうです。時系列でなく、重要度が高いと思われる関連性の順番で検索できるので、頻繁に変わるホット・トピックの中で、何が今ホットなのかも分かるのです。また、この関連性重視の特性により、無名人の多くのリンクよりもセレブのリンクを重視するので、インフルエンサーの投稿を、まず最初に見ることができるのです。
最近は動画が人気のため、トレンド動画専用ページも用意されました。ビデオをクリックするとYouTubeなどの他サイトに飛ばされることなく、同じ画面で自動再生してくれるので、非常に便利です。
トップ・ページには、検索されたキーワードにおいて最も多い特定のユーザー名を含む投稿であるメンション、最もホットな投稿とそのリツイート数、最も多く引用されたサイトとその数が表示されます。
上記の特徴の他にも、どの時期にそのホット・トピックのピークがきているかなど様々な情報が用意されており、アメリカではウェブ・マーケティング担当者必須のツールとなっているようです。将来の起業家・アントレプレナーの皆様にも、昨年末のアメリカ大統領選でも活躍したことは、容易に想像がつくことでしょう。
Topsy Labs(トプシー・ラブス)は、2007年に4人のファウンダーによりサンフランシスコで創業されました。2006年のツイッターのスタートの翌年であり、2006年からの数千億にものぼるツイートを保管しているとのことです。SNSが注目を集めたこともあり、すぐにBlueRun Ventures、 Ignition PartnersなどのVCから約30億円の調達に成功します。40人の従業員と独自のデータ・センターも擁し、ワシントンD.C.にもオフィスがありました。
そして、2013年にアップルが約250億円で買収することとなりました。2015年には自社サイトを閉鎖して、ウェブサイトはiOS9の検索機能に関するアップルのサポートページにリダイレクトされてしまいました。
起業家・アントレプレナー注目!ウェブ・マーケター必須の製品とは?
上述のように、そのメイン製品はTopsy.comというSNSの投稿を収集するリアル・タイム検索エンジンです。フォロワーの数や今までの投稿内容から投稿者の影響力をランク付けしていましたが、これはグーグルのページランクと同じ発想だと、将来起業・スタートアップを目指す閲覧者の方ならば、もうご理解いただけることでしょう。
また、投稿されたワードに関する分析ツールにアクセスできるので、時間、日、週、月ごとに3つまでのワードを比較可能です。過去に投稿されたすべてのワードについて分析できるとのことです。
Topsy Pro Analyticsという分析ツールも用意されており、キーワードや投稿者について分析することができます。どのような内容を、どれぐらいの量投稿しているかという行動、それがどれほどリツイートされたかという影響、言語や場所を把握することができます。また、探しているキーワードに関する最も適したツイート、画像や動画、リンクを、その数千億にものぼるツイートから発見可能なのです。トピック毎にキーワードを分類し、アラートも設置できます。
政府機関向けの特別の分析製品もあります。災害、政治、疫病に特化したものです。新型コロナウイルスが蔓延している現在、有効活用されているはずです。2012年の前回の米国大統領選の際には、ツイッターと共同で2人の大統領候補、トランプ大統領とヒラリー前国務長官、に絞った社会感情を比較する分析ツールが開発されたそうです。
その他には、ツイッターと共同開発した作品賞、監督賞、主演と助演の男優賞と女優賞という6つの主要な部門のアカデミー賞候補への意見を分析する「オスカー・インデックス」も2013年にリリースされています。
また、同年にはアメリカの音楽の中心地の1つであるテキサス州オースティンで開催されるSXSWというイベント開催中にツイッターでの会話からリアルにイベントのトレンド情報、どのスタートアップ、ブランド製品、映画、音楽が話題に登っているか、どのセッションやイベントが最も人気があるか、一番人気のツイートや写真、動画の詳細情報を知ることができる「Mashable SWSX TrendSpotter」というモバイル専門ウェブサイトをMashableという文化ウェブサイトと共同でローンチしています。これは日本でもフジロックなどでもぜひとも導入していただきたいものです。
とはいっても、アメリカでは広く普及しているこのTopsy Labs(トプシー・ラブス)の製品は、残念ながら日本には導入されていません。まずこのTopsy Labs(トプシー・ラブス)が使えるようにならなければ、フジロックなどで実現されるわけもないですよね?検索といえばグーグルが導入してからすでに5年も経っているグーグルの検索ガイドラインの19ページの3-2で解説されているE-A-Tも日本では医療分野のみにしか適用されていません。このままでは日本人とアメリカ人との間のデジタル・ディバイドが拡大していくばかりだと危惧しているのは、筆者だけなのでしょうか?
著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。
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