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起業・スタートアップのための
シリコンバレーの企業紹介 ベディット(Beddit)

2021/02/01

アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。今回はアップルが買収した企業の一つであるベディット(Beddit)について、将来の起業家・アントレプレナーであるシニア・女性・若年層のみなさんと共に見ていきましょう。

起業・スタートアップを目指す方必見!ベディット(Beddit)とウェアラブル健康・医療機器の歴史とは?

ベディット(Beddit)は、2006年にFinsor OYとして創業されたフィンランド企業です。当初は、病院で使用される心拍数と呼吸数をモニターする医療用機器を開発していました。現在の主要製品である睡眠モニター機器はコストがかかりすぎるため、着手できなかったのです。このまま大きな差別化もできていない単なる心拍数モニター医療用機器会社として活動を続けていたならば、J&Jなどの大手の寡占化が進む中で、ベディット(Beddit)は淘汰されていたと思われます。

ここで、日本では家電メーカーとして知られていますが、実は世界でも有数の医療機器企業であるフィリップス社による、現在ではアップル・ウォッチにより一般にも普及しているウェアラブル健康・医療機器の歴史を振り返ってみましょう。英語ですが、イラストになっているので分かりやすいです。これを見ると、最初のウェアラブル健康機器は、2006年のナイキのスポーツ・シューズとアップルのiPod Nanoのコラボによる自動での走行距離の測定機器のようです。また、2009年のThe W200が最初のウェアラブル・ウォッチであり、現在のアップル・ウォッチの元祖のような存在です。

また、フィンランドにはポーラー・エレクトロ(Polar Electro)という、1977年設立のフィットネス用の腕時計型心拍数機器を開発していた会社が存在していました。こうした流れの中、ベディット(Beddit)は2013年にクラウド・ファンディングで約5,000万円を調達し、初めての睡眠モニタリング機器を開発しました。

起業アドバイスコラムのビジネス・モデルの変更の重要性で解説しましたように、この時にビジネスモデルを変更したおかげで、現在のベディット(Beddit)があるのだと申し上げても過言ではないでしょう。起業・スタートアップを目指す閲覧者の方々は、将来ビジネスが行き詰まった際には、是非ともこのベディット(Beddit)の成功例を思い出して頂きたいです。

この後ベディット(Beddit)は、この睡眠モニタリング機器により、急成長を遂げることとなります。2014年には、ウォーキングやランニング、カロリー・コントロールなどのフィットネス・コントローラー運営会社と、パートナー契約を締結します。2015年には、アップル・ウォッチ用のアプリをローンチします。2016年には自社サイトだけでなく、アマゾンやいくつかのアップル・ストアで購入できる睡眠モニタリング機器の新型ヴァージョン3を発売します。このヴァージョン3は評判となり、2016年時点で300万以上の睡眠モニター・データを収集しました。

データは、現在のデジタル社会では非常に貴重なものです。ビッグ・データを元にAIで解析をし、トレンドを掴むことが成功への近道だからです。以前お話した世界一の眼底カメラ企業のOptos(オプトス)とアルファベット傘下のヘルスケア企業のベリリーとの提携が成立したのも、Optos(オプトス)が世界で唯一糖尿病網膜症が発生する白目部分まで撮影できる技術をもち、膨大な患者データを持つからだと推定されます。この大量のデータが、アップルのベディット(Beddit)買収の動機の一つだったと思われます。未来の起業家・アントレプレナーのみなさんは、このデータの重要性を、頭の片隅にでも置いておいてください。

そして、2017年4月にベディット(Beddit)は、ヴァージョン3以前のモデルの発売中止と3へのアップグレードを推奨、翌月にはアップルが買収することとなりました。2018年には自社のクラウド・サービスを終了し、買収後初の製品となるヴァージョン3.5をローンチしました。iOS12が必要となるので、アップルユーザーのみが使用できる製品となりました。アップル・ヘルスともシンクロします。こうした事実を知ると、GAFAによる有力企業の買収はその排他的な戦略により公正な競争を歪めているという論点は確かなのかと、思わされてしまいますね。

そして、このヴァージョン3.5はカリフォルニアでデザインされ、中国で組み立てられているそうです。ベディット(Beddit)ブランドは維持されているのですが、ジョブス氏の伝統ポリシーは買収企業にも適用されているということでしょう。洗練され美しいエルゴノミックデザインであり、簡単に使用できて、高機能となっています。

起業家・アントレプレナー注目! ベディット(Beddit)3.5の機能とは

ベディット(Beddit)睡眠モニターは、日本では15,800円(税別)でアップルストアなどで購入することができます。わずか2ミリの厚さで150グラムと、非常に薄く軽量です。設置も簡単で、センサー部分を寝る際の胸の部分に合わせ、ベッドマットとシーツの間に敷くだけです。使用前の作業も、専用アプリをダウンロードし、ユーザーアカウントを入力、Bluetoothに接続するだけです。その後は自動的に計測されるので、ITリテラシーがあまり高くない主婦などの女性やシニア層の起業家・アントレプレナーの方でも安心です。

アップルウォッチや、専用のリストバンドをつけるなどの必要は、ありません。何も装着する必要がない点が、素晴らしいと思います。但し計測には30キログラム以上の体重が必要なため、子供は使用対象外だそうです。

ベッドマットとシーツの間の胸の部分に敷いたセンサーとBluetoothで結ばれたアプリが、睡眠状況をトラッキングしてくれます。睡眠時間、心拍数、いびき(アプリでマイクをオンにする必要あり)、さらに睡眠状態に影響を与える温度と湿度も計測してくれます。起床時間を設定すると、その8時間前からモニターが開始されます。ベッドから離れると、睡眠状態に関する簡単なコメントが表示されます。1週間の睡眠に関するレポートでは、リング・グラフで睡眠時間の達成度を、棒グラフの途切れで途中に寝れていなかった時間を、赤字でいびきをかいた時間までを、まとめてくれます。

専用アプリは米国英語のみ対応ですが、ユーザーガイドは日本語であり、問題なく使用できると思われます。Bluetoothスマートを採用し消費電力も少ないそうです。

以前にご紹介したカーム(Calm)が大ヒットとなっているように、将来が不安な高ストレス社会の中で、睡眠への関心は世界的に高まっているようです。起業・スタートアップを目標とする受講生のみなさんも、この睡眠やストレス低下などの分野を起業の対象として、アイデアを練ってみるのもよいのかもしれません。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。