副業・起業のためのシリコンバレーの企業紹介
テクスチュア(Texture)
掲載:2021/11/15
最終更新日:2021/11/15
※記事の内容や肩書は、講義時のものです
アタッカーズ・ビジネススクールの、投資・副業・起業を目指すミレニアル世代・シニア・女性等への起業のアイデアとなる、シリコンバレー等の注目企業紹介のコラム。今回はテクスチュア(Texture)について、将来の起業家・投資家であるシニア・女性・ミレニアル世代のみなさんと共に見ていきましょう。
投資・副業・起業を目指す方必見! テクスチュア(Texture)の概要と沿革
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テクスチュア(Texture)は、以前はネクスト(Next)と呼ばれていたデジタル雑誌・新聞アプリです。美しいデザインとレイアウトが特徴で、アップルに高く評価され買収後の現在はApplenews+となっています。 今までご紹介してきたアップルに買収された企業の紹介で、アップルに買収されるにはマーケティングやデザインが重要なのだと副業・起業を目標等する閲覧者の方々もお気づきになっていのではないでしょうか?
テクスチュア(Texture)はネクスト(Next)として、2009年に大手出版社が共同で設立しました。本社はSRIインターナショナルなどと同じく、サンフランシスコ・ベイエリアのメンローパークにあります。「ヴォーグ」や「ニューヨーカー」などを傘下に持つコンデナスト社、新聞王が創設したハースト社、メレディス社、「ウォール・ストリート・ジャーナル」社などを持つニューズ社、「スポーツ・イラストレイティッド」などで知られるタイム社など、錚々たる顔ぶれが揃っています。出版部数の減少に悩む彼等はIT企業ではなく、かつてのライバル企業と手を結んだわけです。
2012年にはNext Issueというアプリをローンチしました。2013年にはカナダ、2014年にはフランスと、フランス語圏にも展開していきます。そして同年にはKKRなどから約50億円の調達にも成功、順調なスタートを切りました。
そして2015年にはテクスチュア(Texture)に社名を変更しました。上記の雑誌・新聞以外でも「ブルームバーグ」から「ワイヤード」、「ローリング・ストーン」まであらゆるジャンルの160もの雑誌・新聞を揃えていました。記事使用料金として15億円を出版社に支払うほどに成長を遂げていました。
そして2018年に、アップルに買収されることとなりました。2019年5月にサービスは終了となり、アメリカ、イギリス、オーストラリアで展開するApple Newsに統合され現在はApple News+となったわけです。
「ナショナル・ジオグラフィック」、「マリー・クレール」、「ボナペティ」、「ニューヨーク」など雑誌・新聞数は300に増加し、月間10ドルで読み放題となっています。雑誌の表紙が並ぶ高級感のあるデザインで、Apple News の3つのタブのうちのNews+がテクスチュア(Texture)にあたります。アップルに買収されると放置されたり、一部の機能しか使用されないなどの弊害を今まで紹介してきました。しかし、このテクスチュア(Texture)に関してはデザインもアップルならではでさらに洗練され、雑誌数も増えるなど問題はなさそうです。もちろんアンドロイド端末では使用できませんが。
投資家・起業家注目!テクスチュア(Texture)の特徴とは?
2015年にテクスチュア(Texture)に社名を変更した際のアプリは、CEOが「電子ニューススタンド」と呼んだように、男性・女性、年齢、文化系・アスリート系、ビジネス用途・趣味用途などを問わず、どんな属性の方に満足できる多層多次元の電子雑誌・新聞でした。
さらに、雑誌別ではなく、160の雑誌を横断して好みの記事を探すことができるのです。検索機能は日本の雑誌アプリにももちろんあります。異なる点は、AIに頼るIT企業と異なり、ピープル誌の元編集長が深読みできるように特集として編集しているとのことです。
以前ご紹介した要訳アプリのブリンキストは、人力での編集をサムリーなどの他のAIによる要約アプリからの差別化要因としていました。しかし、プロのトップ編集者ではなく、自称ライターによるものです。こうしたプロのトップ編集者が手がけている点が、通常のIT企業による雑誌を寄せ集めただけのアプリからの差別化要因といえるのではないでしょうか?
そして、多くの一流新聞を傘下に持つことで、近年ますます重要となってきている信頼性が確保できるわけです。未来の起業家・投資家の方々は、当然フェイクニュースという言葉をご存知でしょう。医師ではない素人が書いたキュレーションサイトがグーグルで検索すると上位表示され、5年ほど前には日本でも問題となりました。日本のIT企業によるニュースサイトを見ていると自称ライターの方の記事もなぜか多く掲載されており、どれが本当の記事なのかを見分けるのは困難です。
このテクスチュア(Texture)は、各雑誌や新聞の専門ライターが書いたプロによる高品質の記事であり、最高のジャーナリズムを入手でき、フェイクを避けることができるのです。その70%はフリーアプリでは手に入らない内容だったとのことです。
ただし、特集やフォトエッセイが中心で、雑誌のすべての記事を提供しているわけではないそうです。
もちろん、こうした特集記事をお気に入りとして登録することができます。個々の記事を友人とシェアできるので、ファッション、スポーツ、音楽からビジネスまで、それぞれの趣味が共通した異なる友人と一緒に楽しむことができます。
ビジネスモデルは主としてサブスクリプションモデルで、月刊誌のみのベーシックプランが9.9ドル、週刊誌を含むと14.99ドルでしたが、これだけ多くの雑誌を読み放題で、フェイクニュースを避けることができることを考えると、非常に魅力的な価格設定だったといえるのではないでしょうか?また、広告モデルも組み合わせています。通常の広告だけでなく、記事広告も加えていました。自然に雑誌の内容と溶け込ませる記事広告は、雑誌と同じ手法であり、雑誌の編集者の得意とするところでしょう。
iOSやアンドロイドに加え、キンドルでも利用可能と、電子書籍ユーザーを対象にしていたことがわかります。短文のニュースと異なり、数ページに渡る特集記事となると、スマホでは画面が小さすぎて疲れてしまいますからね。
アップル買収後はiOSのみとなり、アメリカとカナダ、イギリスとオーストラリアのみで使用可能です。英語でもいいので、日本でも展開していただきたいものです。やはり、デザインの良さが魅力的です。
豊富な動画や静止画とともに、斬新なレイアウトで記事を楽しむことができるので、満足度が高いわけです。
オーディオ版も用意され、プロのナレーターによる多くのトピックが20分で楽しめます。その日の注目ニュースを出社前に毎朝聞くことで、仕事への準備ができます。世界中のニュースが集まってきます。
CarPlayの使用で車の中でも聞くことができるので、車で通勤されている方が多いベイエリアでは便利な機能となっています。
トップストーリーと今日のニュースは、無料版のApple Newsでも利用可能だそうです。しかし、これはBBCやCNNとの差別化は特になく魅力的とはいえないですね。
欧米では、iPadのようなタブレット端末がシニア世代まで広く普及しています。海外の観光地に行くと、スマホではなくタブレットで写真撮影をされている欧米人の方を、少なからず見かけます。未来の起業家・投資家の閲覧者の方には、長期休暇を取得する彼等の旅のお供には必須の本や雑誌、新聞を電子化した電子書籍やこのテクスチュア(Texture)のような素晴らしい雑誌・新聞アプリが、タブレットの普及に貢献していたのだと理解いただけたのではないでしょうか?
日本でも日本経済新聞社などの大手新聞社と大手出版社が組んでこうしたアプリをローンチしてくれると、サブスクしたいですね。
著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。
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