海外企業紹介

副業・起業のためのシリコンバレーの企業紹介
ワネロ(Wanelo)

掲載:2021/12/27

最終更新日:2021/12/27

※記事の内容や肩書は、講義時のものです

アタッカーズ・ビジネススクールの、投資・副業・起業を目指すミレニアル世代・シニア・女性等への起業のアイデアとなる、シリコンバレー等の注目企業紹介のコラム。今回はワネロ(Wanelo)について、将来の起業家・投資家であるシニア・女性・ミレニアル世代のみなさんと共に見ていきましょう。

米国株投資・起業を目指す方必見! ワネロ(Wanelo)の概要と特徴とは?

ワネロ(Wanelo)は、以前ご紹介したエッツィー(Etsy)と同様に、女性に人気のECサイト運営企業です。エッツィー(Etsy)よりも若いミレニアル世代が顧客の中心であり、Want、Need、Loveから命名されたそうです。ウェブ上のあらゆるものを収集、保存、さらに購入できるというのが売りになっています。

55万のショップと3000万もの商品があり、30億ものピンがあります。ピンタレスト(Pinterest)を思い浮かべられた方もいらっしゃるでしょう。奇抜なファッションを好む創業者が個性的な商品を購入できるECサイトを立ち上げようとしたという点は、エッツィー(Etsy)に似ていますね。しかし、特徴的なのはそのビジネスモデルです。名門コーネル大学卒業まで後わずか2単位なのに起業するために中退し、ワネロ(Wanelo)が3社目の起業となる女性アントレプレナーは、ピンタレスト(Pinterest)のビジネスモデルとECサイトのそれを融合したのです!ピンタレストと異なり、実際にお気に入りの商品を購入できる点がポイントです。エッツィー(Etsy)のように独自の商品は持っておらず、ユーザーがピンをして紹介している店舗に頼っているのです。

ピンタレストと似ており、男性向け、女性向け、赤ちゃん向け、服(下着、水着、部屋着など細かく分かれている)、靴、化粧品などのカテゴリーで検索でき、趣味の似た人をフォローできるのです。

気になるものを見つけ出し、URLでワネロ(Wanelo)に取り込み、保存していけば、アマゾンと同様にパーソナライズされていきます。ご自分が保存したアイテムを保存している趣味が似ている他のユーザーのプロフィールやその方が保存している他の商品を見ることができます。

商品は画像のみが表示されるのもピンタレスト(Pinterest)と同じです。

お気に入りのユーザー(ショップを含む)を真似するだけで、おしゃれになれるわけです。ご自身が撮影した写真でなく、他人のものを集めるだけで独自のスタイルを確立するというアイデアは、セレクトショップやピンタレストから着想をえたのでしょう。出品者ではなくフォロワーが気に入ったものをフォローして紹介しているのです。

ユーザーは90%が女性だそうです。出品者はエッツィー(Etsy)のような個人店舗だけでなく大手メーカー品もあります。ユーザーは商品のリンクをクリックして、グーグルクロムまたはワネロ(Wanelo)独自のブラウザーを開いて購入できるわけです。アマゾンと同じく、すぐに買わずに欲しいものリストとして保存も可能です。

売り手の側もショップページを運用できるので、コミュニティ内のコメントや売れ筋から、人気商品のトレンドやユーザーの満足度や不満を理解するマーケティングツールとしてもワネロ(Wanelo)を利用できるのです。

自社ウェブサイトにワネロ(Wanelo)へのリンクを設置しているブランド企業もあるようです。こうしたリンクを設置するなどの提携をした店舗の商品は、検索すると優先的に表示されるそうです。

投資家・起業家注目!ワネロ(Wanelo)の沿革と問題点

ワネロ(Wanelo)は2012年にサンフランシスコでもSOMAと呼ばれるサンフランシスコ近代美術館など多くの美術館や博物館が立ち並ぶ地区に設立されました。ニューヨークならばギャラリーが立ち並ぶチェルシーに相当します。創業者のアートへのこだわりが伺えますね。

同年にサイトをローンチすると、翌年までには約15億円を調達し、市場価値は約100億円と評価されました。2013年には急成長を果たし創業後わずか1年で1000万のユニークユーザーを獲得、20万もの企業が出店しました。

iOSとアンドロイドアプリも公開しスマホでも使用できるようになると、85%のユーザーがモバイルから訪問するようになります。検索機能も強化され、いくつかの企業店舗や個人ショップをグループ化して独自のスタイルを確立し、コメントを書いて紹介する「ストーリー」という機能が追加され人気となりました。

しかし、2014年のユーザー数は1200万人、ショップ数は30万で2013年からあまり増えていません。その後は低成長が続いているようです。その証拠に、TMTインベストメントという出資企業が持ち分の株式を2019年には約3.5億円で売却したそうです。

筆者も実際にサイトを訪問してみたのですが、あまりフォローしたいという店舗が見つかりませんでした。インフルエンサーといえるような、これはおしゃれだという画像が見つからないのです。エッツィー(Etsy)と比べると品揃えも普通に思えました。これは大手メーカー商品も受け入れているということが理由だと推測されます。

ピンタレストをマネタイゼーションしたと設立当初はワネロ(Wanelo)を紹介した記事も多かったのですが、最近は記事としても取り上げられていないようです。いくらビジネスコンセプトがよくても、中身がよくなければ意味がないのです。従来のECショップが物足りないと思い起業したという点はエッツィー(Etsy)と同じですが、本当にそう思っていたのか疑問に思えてしまいます。それならば、なぜどこでも購入できる大手メーカー品も受け入れたのでしょうか?

将来起業を目指す閲覧者の方には、同じコンセプトで出発したエッツィー(Etsy)の成功とワネロ(Wanelo)の失敗から、起業には何が重要なのかを学んでいただければと思います。将来の起業家・アントレプレナーであるみなさんは、この2社の長所のみを取り入れた同様なサイトを立ち上げてみてはいかがでしょうか?

著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。

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