映画から学ぶ副業・起業向けアドバイス
『ガタカ』

2021/03/26

アタッカーズ・ビジネススクール(ABS)のシニア・女性等への映画から学ぶ副業・起業アドバイスのコラム。今回は、起業家に、どんな困難な状況でも頑張り続ければ夢は叶うと教示してくれる『ガタカ』について、将来の起業家・投資家であるみなさんと共に見ていきましょう。

副業・起業を目標とする方への『ガタカ』の概要

『ガタカ』は、アンドリュー・ニコルの監督デビュー作となった1997年のカルト的人気を誇るSFドラマです。遺伝子が全てを決定する未来社会を舞台に、人間の尊厳を問うた奥深い作品となっています。興行的には成功しなかったのですが、その後批評家を通じて高い評価を獲得しました。

脚本もてがけたニコル監督によるストーリーに、どんどん引き込まれていきます。SF作品ですがサスペンスとしても楽しめ、さらに登場人物それぞれの苦悩を描いたヒューマンドラマとなっており、106分があっという間に過ぎてしまいます

リアル感のある近未来の姿は大人が見ても全く違和感がなく、素直に作品に入り込めます。アカデミー美術賞にもノミネートされています。名作『ピアノ・レッスン』やパトリス・ルコント監督の『仕立て屋の恋』や『髪結いの亭主』、ピーター・グリーナウェイ監督作品のほぼ全てをてがけるマイケル・ナイマンの叙情的な音楽が、登場人物たちの感情を見事に表現しており、ゴールデングローブ賞音楽賞にノミネートされました。

米国最大の映画批評サイトRotten Tomatoes聴衆278,758人による平均スコアは、4.09と高評価となっています。

主人公ヴィンセント役が、イーサン・ホークです。89年にロビン・ウイリアムス共演の学園ドラマ『いまを生きる』の転校生役で注目され、ウィノナ・ライダー主演のX世代を描いた青春映画『リアリティ・バイツ』(94年)、ジュリー・デルピー共演のヨーロッパの長距離電車で出あったアメリカ人学生とフランス人女学生の淡い恋を描いた『恋人までの距離』(95年)でブレイクを果たしていました。『ガタカ』では、不幸な境遇にもへこたれることなく夢を目指すヴィンセントを淡々と演じています。

ヴィンセントを愛するアイリーン役が、ユマ・サーマンです。88年にラクロの同名小説を映画化した『危険な関係』での無垢な令嬢役、90年には作家アナイス・ニンの日記を基にした『ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女』で作家ヘンリー・ミラーの妻ジューン役で、 脚光を浴びました。そして94年には主役を務めたガス・ヴァン・サント監督のロードムービー『カウガール・ブルース』がヒット、ギャングのボスの情婦を演じジョン・トラヴォルタとのダンス・シーンが話題となったクエンティン・タラ ティーノの大ヒット作『パルプ・フィクション 』でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、ブレイクを果たしていました。当時26歳の美しい姿を見られるだけでも、ファン必見の作品です。『ガタカ』撮影中には実生活でもホークと恋人となったわけで、ヴィンセントの正体を知りショックを受けながらも愛し続けるアイリーンの姿は演技とは思えません

ヴィンセントに身分証明用の血液などを提供するユージーンを、当時無名だったジュード・ロウが演じています。『ガタカ』での苦悩するエリートの熱演と当時24歳のイケメンぶりはイーサンの影を薄くするほどで、見事ブレイクを果たしました。その後の『リプリー』(99年)、『A.I.』(01年)、『コールド マウンテン』(03年)、『クローサー』(04年)などでの活躍ぶりはご承知のとおりです。

起業家・投資家を目指すみなさん向けの『ガタカ』のネタバレなしの途中までのストーリー

ネタバレなしの途中までのストーリーは、近未来社会で始まります。そこでは、出生前の遺伝子操作により優れた知能と体力と外見を持った適正者と、自然出産により産まれた欠陥遺伝子を持ちうる不適正者との間に、厳格な社会的差別がありました。

不適正者のヴィンセント(イーサン・ホーク) は心臓が弱く、30歳までしか生きられないと宣告されていました。しかし、適正者である弟アントンに遠泳で勝ったことで自信を持ち、家を出て適正者のみに許された宇宙飛行士になる決心をしました。

宇宙開発を手掛けるガタカ社の就職試験を受けるため、ヴィンセントはDNAブローカーに、超エリートの水泳選手だったジェローム・ユージーン・モロー(ジュード・ロウ)を紹介してもらいます。ユージーンは優秀さゆえに悩み、自殺未遂を図り下半身不随となっていたのです。ユージーンの生活を保証することを条件に、ヴィンセントは血液などのサンプルを提供してもらい、ジェローム(ユージーン)に成り済ましたのです。

ガタカ社に入社して数年後、ジェローム(ヴィンセント)は金星の衛星タイタン行きの宇宙飛行士に選ばれました。ところが、ジェローム(ヴィンセント)の上司の殺害事件が起きます。捜査を担当する女性局員アイリーン(ユマ・サーマン)は、ジェローム(ヴィンセント)を疑いながらも魅かれていくのでした。
一方捜査官になったアントンは、現場からヴィンセントのまつげを発見しました…。

『ガタカ』を観て副業・起業を目指す方に気づいて頂きたい点

「適正者」と「不適正者」との間で厳格な社会的差別があるという設定には、現在も根強く存在する人種差別や階級差別などの社会的差別が、なくなるどころかさらに明確化されるのかと、衝撃を覚えます。しかしその差別の根拠は、人種や階級という納得しがたいものではなく、遺伝子による優劣という数値として明確化された合理的なものとなっています。

『ガタカ』の英語版のウィキペディアによると、事実アメリカでは、当時から保険会社により遺伝子による保険料の差別が存在しているそうです。将来の世界が『ガタカ』のような社会になるとしても決して不思議ではない、非常にリアルな近未来を描いた作品となっています。

「不適正者」として産まれながらも宇宙飛行士になるという夢を捨てずに頑張り続けるヴィンセントの姿に、感動を覚えます。こうした姿を見ると、アイリーンでなくとも応援したくなるのは当然でしょう。副業・起業を目指し苦闘している閲覧者のみなさんに、どんな困難な状況でも頑張り続ければ夢は叶うことがあるのだと、示唆してくれています。

ユージーンを通じて、エリートゆえの悩みについても焦点をあてています。誰からも羨まれるエリートにも悩みはあるわけで、それは傍から見ていても分からないわけです。贅沢な悩みといえばそれまでかも知れませんが、人間は現状に満足せず、悩み続ける存在だと教えてくれています。起業である程度成功してもそれに満足せず、IPOを目指す中で、新たな苦悩が生まれるわけです。将来の起業家・投資家のみなさんは、ユージーンのようにダークサイドに落ちてはいけないのだと肝に銘じることを心がけましょう。

今ではトップスターとなったイーサン、ユマ、ジュードの若かりし頃の共演が楽しめるので、ファンには堪らないでしょう。SF作品としても、最後まで目を離せないサスペンス作品としても楽しめ、どちらのファンにもおすすめできます。登場人物に感情移入をしやすく、能力による差別の是非についてなど、いろいろと考えさせられます。単なる娯楽作品に留まらない、アメリカ映画としては異質の、奥深いSF作品といえるでしょう。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。