起業アドバイス

映画から学ぶ副業・起業向けアドバイス
『危険な関係 』

掲載:2021/9/27

最終更新日:2021/09/27

※記事の内容や肩書は、講義時のものです

アタッカーズ・ビジネススクールの、スタートアップを目指すシニア・女性・ミレニアル世代などへの映画から学ぶ副業・起業アドバイスのコラム。今回は、策を巡らせると策に溺れ、因果応報により報復を受けると教示してくれる『危険な関係』について、将来の起業家・投資家であるみなさんと共に見ていきましょう。

副業・起業を目標とする方への『危険な関係』の概要

『危険な関係』は、舞台を18世紀後半から現代に置き換えてラクロの同名小説を映画化した59年の名作です。愛し合いながらもお互いに不倫を楽しむ上流階級の夫婦が、若い恋人たちの純粋な恋をもてあそぶ姿を、描きました。

監督は当時の妻のブリジット・バルドー主演の『素直な悪女』(56年)と『月夜の宝石』(58年)で頭角を現していた『バーバレラ』(67年)などで知られるロジェ・ヴァディムです。『危険な関係』は、76年には『華麗な関係』としてシルヴィア・クリステルとナタリー・ドロン主演で再びヴァディムで、88年にはグレン・クローズ、ジョン・マルコビッチ、ミシェル・ファイファー、キアヌ・リーブスらで、89年には『恋の掟』として コリン・ファース, アネット・ベニング主演でと、その後3回もリメイクされています。

個人的にはこの『危険な関係』が、現代に舞台を置き換えたシナリオ、演技陣の質の高さ、恋を弄ぶ上流階級のデカダンな雰囲気、全編に流れるセロニアス・モンクやアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メセッンジャーズの演奏による音楽など、あらゆる面で他の作品を凌駕していると思います。

米国最大の映画批評サイトRotten Tomatoes視聴者669人による平均スコアは、3.73でありアメリカでは全く知られておらず低評価の作品のようです。フランスの往年の名画を観ることができる日本に生まれてよかったと思えるような、残念な結果に驚いてしまいました。ちなみに、まあまあだったという感想しかない88年のグレン・クローズ、ジョン・マルコビッチ、ミシェル・ファイファー、キアヌ・リーブス主演のリメイク作品は、アメリカでは人気の高く演技力にも定評がある豪華俳優が共演しているからなのか、Rotten Tomatoes では4.04と高評価となっています。

主人公の外交官ヴァルモン役は、『肉体の悪魔』(47年)以来恋に生きる騎士ファンファンを演じた『花咲ける騎士道』(52年)、スタンダールの同名の代表作を映画化したダニエル・ダリュー共演の『赤と黒』(54年)、天才画家モディリアーニの生き様を描いた『モンパルナスの灯』(58年)などでフランス映画界のトップスターとして君臨していたジェラール・フィリップです。撮影中に肝臓ガンで37歳の若さで死亡し、この『危険な関係』が遺作となってしまいました。以前ご紹介した『モンパルナスの灯』をご覧になり彼を好きになった方は、是非とも観ていただきたいです。

ヴァルモンの妻のジュリエット役は、ジャンヌ・モローです。夫殺しの完全犯罪を目指す妻と愛人を描いた『死刑台のエレベーター』(57年)、ルイ・マルと再び組んだ不倫を詩的に描いた『恋人たち 』(58年)でヒロインを務め、当時人気急上昇中でした。この『危険な関係』では、クールに装いつつもヴァルモンへの強い愛を秘めた上流婦人を見事に演じていました。

ヴァルモンが恋焦がれるマリアンヌを、当時ヴァディム監督の夫人だったアネット・ヴァディムが演じています。

そして夫婦に翻弄される真面目な青年ダンスニ役は若き日のジャン=ルイ・トランティニャンですブリジット・バルドーの出世作『素直な悪女』(56年)で准主役でしたが、まだ無名に近い存在でした。この『危険な関係』で注目され、上流階級の人妻とファシスト高官の息子の激しい恋を描いた名作『激しい季節』(59年)では主役を獲得します。その後クロード・ルルーシュの名作『男と女』(66年)で、トップ・スターとなります。

ロジェ・ヴァディム監督はこの『危険な関係』(59年)のアネット・ヴァディムだけでなく、『素直な悪女』(56年)のブリジット・バルドーに始まり、子供を生ませただけで結婚こそしませんでしたが『悪徳の栄え』(62年)のカトリーヌ・ドヌーヴ、『バーバレラ』(67年)のジェーン・フォンダと妻(または実質上の妻)を主演させることで知られています。また、『素直な悪女』で共演したバルドーと恋仲となり夫婦の離婚の原因となったジャン=ルイ・トランティニャンを再び自作に出演させているところが、小さいことなど気にしないプレイボーイの面目躍如といったところでしょうか?

起業家・アントレプレナーを目指すみなさん向けの『危険な関係』のネタバレなしの途中までのストーリー

ネタバレなしの途中までのストーリーは、現代(1960年)のパリで始まります。外交官ヴァルモン(ジェラール・フィリップ)と妻のジュリエット(ジャンヌ・モロー)は社交界の花形で、お互いを一番に愛していながら浮気を楽しみ、その内容を報告し合っていました。

ある日ジュリエットは愛人のジェリが若いセシルと婚約したのを知り、ジェリとの結婚の前にヴァルモンにセシルの純潔を奪わせようと画策します。ヴァルモンは、クリスマスにセシルを手に入れました。しかし、その際に出会ったマリアンヌ(アネット・ヴァディム)に心を奪われてしまい、迫ったのですが、どうしても手に入れることができませんでした。

その内にヴァルモンのマリアンヌに対する気持ちは本物になってしまい、ようやくマリアンヌもその想いを受け入れるのでした。しかしジュリエットはヴァルモンの心変わりに驚き、 策をめぐらし二人の仲を割いてしまいました。ジュリエットは夫への仕返しにダンスニ(ジャン・ルイ・トランティニャン)という実直な青年を愛人にしようとますが、実はダンスニはヴァルモンに純潔を奪われたセシルの恋人だったのでした…。

『危険な関係』を観て起業・スタートアップを目指す方に気づいて頂きたい点

こうした恋愛ゲームを楽しんでいたヴァルモンとジュリエットですが、このゲームには肉体的な愛はよいが精神的な愛は許されないという暗黙のルールがあったわけです。そのルールをマリアンヌに夢中になったヴァルモンが破ってしまい、ジュリエットのプライドは大きく傷ついたわけです。画策をめぐらすジュリエットが悪女のように描かれていますが、ルールを破ってしまったヴァルモンに非があるという見方もあるでしょう。「他の女といくら寝てもいいけれど、心はいつも私を思ってくれなくてはいや!」という女の性を見抜けなかった点に問題があります。未来の起業家・アントレプレナーのみなさんには、策を巡らすと策に溺れるということを、ジュリエットの失敗から学んで頂きたいです。

この『危険な関係』のテーマは、やはり因果応報でしょう。恋愛ゲームで人の純粋な心を弄ぶヴァルモンとジュリエットには、罰が下るわけです。しかし天罰は策を巡らす悪女のジュリエットよりも、ヴァルモンに大きく降りかかる結果となります。その理由は、上記の恋愛ゲームのルールを破ったヴァルモンに、より大きな原因があるということなのでしょうか?

1950年代末期のパリの上流階級の華麗な生活を垣間見ながら、ジェラール・フィリップやジャンヌ・モローら美男美女の演技に酔いしれ、恋愛ゲームの展開にドキドキし、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メセッンジャーズらの演奏による最高のジャズも楽しめます。これほど何もかもがそろった作品が他に、どれだけあるでしょう?是非とも見ていただきたい名作の一つです。

著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。

ご相談・お申込み