起業アドバイス

起業・スタートアップのためのアドバイス6
海外情報取得の重要性

掲載:2020/9/11

最終更新日:2020/09/11

※記事の内容や肩書は、講義時のものです

アタッカーズ・ビジネススクール(ABS)のシニア・女性等への起業のアイデア・スタートアップのためのアドバイスの第6回。前回は、ビジネス・モデル変更の必要性について、お話ししました。今回は、起業・スタートアップ前に習慣づけたい海外情報の取得について、解説していきます。

起業家・アントレプレナーにとっての海外情報収集の必要性について

前回の記事で、将来の起業家・アントレプレナーであるシニア・女性などの閲覧者の方々にも、当初のビジネスモデルに執着するのは得策ではないとご理解いただけたと思います。それでは、当初のビジネスモデルがうまく行かなかった際には、どのように次のビジネスモデルを見つければいいのでしょうか?

みなさんが、どんどんと新しいアイデアが溢れてくる天才であれば、問題はないでしょう。しかし、一般的には一番簡単なのは、前回の数社の例に示されているように、同業他社のビジネス・モデルを真似することです。

そうはいっても、日本の競合他社からの模倣の場合にはすでに先駆者がいるわけですから、トップシェアを取るのは困難となります。それでは、どうしたら先行者利益を獲得できるのでしょうか?それは、海外ですでに存在しているビジネスモデルを真似するのです。

ライブドアの成功例からみる海外ビジネル・モデルの模倣について

かつてライブドアという後発のポータル・サイトを日本一にしようと奮闘していたホリエモンこと堀江貴文氏。好き嫌いはあるでしょうが、勉強のできる秀才型ではなく、他の人にはない独特の考え方や価値観を持つ天才型だということは、誰もが認めるでしょう。

しかし、このホリエモンでさえも、新たなものを生み出しているわけではないのです。当時のライブドアが目指していたのは、日本においてはグーグルをしのぎ圧倒的な市場シェアを握っていたヤフーの模倣だったのです。

添付のINTERNET Watchの記事画像をクリックしてみてください。PCでウェブサイトの画面を開いた際に、スクロールせずに見える部分を、アバブ・ザ・フォールドといいます。当時のLivedoorのサイトの、トップページのアバウブ・ザ・フォールドを見てみましょう。

検索窓、ウェブ、カテゴリ、ブログなどのタブ、買い物、情報、趣味などのカテゴリが並んでいますが、当時のYahoo! Japanのトップページと似ているのが見て取れるでしょう。

もちろん、ライブドアは単なるYahoo! Japanのものまねではなく、独自の特徴を持っていました。芸能人などを積極的に活用したライブドア・ブログを日本一にすることで、まだ日本ではあまり知られていなかったブログを浸透させました。また、大手マスコミとは異なる切り口の市民記者によるニュース配信を行うなどの、革新的な事業を行っていました。しかしこれらも、米国ですでに存在していたものをいち早く日本に取り入れた、ということです。

ブログという言葉が米国で初めて使用されたのは英語版ウィキペディアによると、1999年のようです。日本では2002年ということなるので、3年の開きがあります。

しかし、ホリエモン自身が毎日投稿していた「livedoor社長日記」などを有したライブドア・ブログにより、日本では2004年頃からブログブームが起きたわけです。米国ではそれほど流行していたわけではなく、その先見の明には驚かされます

同じような記事ばかりを配信する大手マスコミと差別化するために、PJニュースとの関係を通じて市民ジャーナリズムを早くから取り入れていたことも、称賛に値するでしょう。

しかし、このホリエモンでさえ、行っていたことは海外、特に米国で起きている潮流から今後日本でも流行しそうなものをいち早く掴んでいた慧眼があっただけであり、一言でいうと海外情報の模倣ということになります。

起業・スタートアップを目指すには海外ニュースサイトを読むことを習慣化しよう!

起業・スタートアップを目標としている女性やシニア等のみなさんは、まずは日本のマスコミに惑わされずに、海外で起きている状況を常に把握することが必要となります。

そこでまず行って頂きたいことが、日本のニュースだけでなく、海外ニュースを読むという習慣をつけることです。

一般ニュースとしておすすめなのは、海外旅行をした際にビジネスマンが宿泊するレベルのホテルでTVをつけると必ず見ることができるCNNとBBCでしょう。欧米のビジネスマンが、海外出張をしている際にも、世界で何が起きているかについて把握できるように、どのホテルでも視聴可能になっていると考えられるでしょう。

このBBCとCNNについてはアプリがあるので、まずはアプリをダウンロードしましょう。BBCはBBC NEWSという英語版のみですが、CNNにはCNN.co.jpという日本語版があります。

英語ニュースの方が断然スピードが早いので、英語ニュースの使用をおすすめします。ちなみに、筆者のツイッター(最近は全く更新していませんが)では、3月13日の金曜日にアメリカとスペインの非常事態宣言を日本のマスコミよりも早く配信しました。これも、BBC NewsやForexliveというサイトを常に見ているから可能になりました。

また、CNN.co.jpのアプリは、日本語と英語とがタブで切り替えられるようになっています。普段は英語を使うように習慣化し、どうしても難しいときは日本語にするのもよいかもしれません。

ただし、CNN.co.jpのアプリの英語と日本語のニュースを比べてみると、ニュースの中身や量が同じでないことに起業家やアントレプレナーを目指す閲覧者の方ならば気づかれるかもしれません。

例えば、民主党の大統領候補を決定するキャンペーンのニュースを比較してみましょう。バーニー・サンダーズが勝利したニュースが英語版では北マリアナ諸島、日本語版ではカリフォルニアとなっています。カリフォルニアのニュースは古すぎて、恐らくトップラインから落ちてしまっているのでしょう。日本語版でトップに掲載されていたトランプ大統領の非常事態宣言のニュースも、英語版では50番目ぐらいにようやく見つけることができました。

このように、日本語版はニュースとしても情報が遅く、量も圧倒的に少ないため、英語版での閲覧をおすすめします。

英語が苦手な方は、このCNN.co.jpの日本語版と英語版のニュースを比べてみて英語の言い回しや単語などを覚えるのにも活用できるので試してみてください!

将来の起業家・アントレプレナーは、次には海外専門サイトを読むことを習慣化しよう!

そして、一般ニュースの次には、専門ニュースです。起業・スタートアップを目標としている女性やシニアなどのみなさんならば、ご自分が興味があり、起業したいと思われる分野の専門ニュースを読むべきです。

金融分野ではロイターやブルームバーグが有名ですが、ご存知の方が多いでしょうから省略させていただきます。

ウェブ業界で有名なのはWIREDで、日本語版であるWIRED.jpがあります。これは日本語なので、英語が苦手な方でも問題なく読むことができます。海外の業界の動きがつかめるので、ウェブ業界で起業を目指す方は是非とも読むべきでしょう。

そういいながらもWIREDはコラムが中心で長文なので、怠惰な筆者はたまに見てみる程度ですが。

そういう閲覧者におすすめなのが、TechCrunchです。業界向けニュースなのですが、短いので数分で読めます。添付の記事は、トランプ大統領が新型コロナ・ウイルス感染のチェックサイトを米国政府がグーグルと共同で構築と発表したが、実はVerilyの間違いだったというものです。

ベリリー(Verily)については、シリコンバレーの企業紹介で2回にわたり説明したので、記事を読まれた方は理解されていることでしょう。しかし、アメリカの大統領も勘違いしているわけですから、日本の一般の方がベリリー(Verily)を知らないのは当然でしょう。

それでも、起業家・アントレプレナーを目指す勤勉なみなさんであれば、この記事を読んだならば、ベリリー(Verily)ってどんな会社なんだろうと興味を持ち、調べ、同じことをやってみようと思われるかもしれませんよね?

まさにこれこそが、ホリエモンがlivedoorブログや市民記者の記事のLivedoorニュースでの配信などで行ったことなのです。

筆者自身がWIREDを読むことがあまりなかったのでおすすめする権利は実はないのですが、TechCrunchのようなニュース形式の業界ニュースならば、手軽に読めるのでおすすめです。

さらにTechCrunchはフィンテック、人工知能・AIなどご自分の興味のある分野ごとに記事を探すことができるのも、便利だと思います。

もちろん、ただ読み流すだけでなく、ご自分に合った分野とさらにはビジネス・モデルを探しだし、模倣するための研究が必要となるわけですが。

次回は、起業のため、そして起業後の成長のための人脈形成の仕方について解説したいと思います。

著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。

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