起業・スタートアップのためのアドバイス12
青色申告と白色申告どちら?

2020/09/25

アタッカーズ・ビジネススクール(ABS)のシニア・女性等への起業のアイデア・スタートアップのためのアドバイスの第12回。前回は、起業するなら株式会社と合同会社のどちらがよいかについて。お話ししました。今回は、起業・スタートアップには青色申告と白色申告のいずれが適切かについて、解説していきます。

未来の起業家・アントレプレナー注目!青色申告と白色申告って何?

個人事業主の場合でしたら3月半ばまで(事業年度は前年の1月1日から12月31日)に、会社を設立した場合には第1期目の事業年度が終わると、たとえ赤字であっても税務署に事業所得について申告しなくてはなりません。いわゆる確定申告です。

この確定申告の際には、2つの様式があります。ひとつが青色申告、もうひとつが白色申告です。

ここまで読んで、確定申告時や最初の事業年度終了までに青色にするか白色にするか決めればいいやと思われた未来の起業家の方もおられると思います。しかし、それでは遅すぎるのです。

青色申告にするには、最寄りの税務署に、「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があるのです。申請期限は、開業日から2ヶ月とされています。申請期限をすぎると、自動的に白色申告となっていまいます。

起業の際はドタバタしており、いろいろなことを同時並行で行わなければなりません。

几帳面でTo doリストなどを作成ししっかり管理されている将来のアントレプレナーでさえ、なにかを忘れてしまうことは当然おきるでしょう。まして、そうした細かいことは人任せだったという起業家候補ならば、気がついたら2ヶ月を過ぎてしまって白色申告になってしまったということになっても全く不思議ではありません

白色申告にするか青色申告にするかはドタバタしないためにも、起業・スタートアップ時までには、その長所と短所を比較しながら決定している必要があるのです。

起業・スタートアップを目指す方必見!白色申告とその長所とは?

上記のように青色申告申請をすることを忘れないでくださいと書いてきたわけですから、青色申告をABSメルマガやアタッカーズ・ビジネススクールのサイトの読者である起業家候補の方々にはオススメしているわけです。

しかし、白色申告にも、もちろん長所はあります。申告書類が簡単に作成できるということです。

2014年以前は、事業所得が300万円以下の白色申告事業者は、帳簿を作成して売上と経費を記帳する義務がありませんでした。

しかし、白色申告のウィキペディアにありますように、2014年からは青色申告と同様に記帳義務が発生し、7年間の原本の保有義務も追加されました。

つまり、白色申告の長所は、記帳の際に一つ一つの取引を記録するのではなく、1日の売上の合計でよいということのみになりました。飲食店などを起業する方を除いては、そのメリットはほとんど無くなったと言えるのではないでしょうか?

将来の起業家・アントレプレナー注目!青色申告の最大のメリットである損失の繰越控除とは?

それでは、青色申告のメリットとしては、何があるのでしょうか?まずは、純損失の繰越控除が挙げられます。

株やFXなどの投資をされている方は、損失が出た場合には3年間損失を繰り越して各年の所得から控除できることをご存知だと思います。これと同じで、個人事業主となられたり、会社を設立した際には、赤字の年から3年間の間に利益が生じた場合には、黒字から過去の赤字を差し引くことができるのです。

例えば、最初の事業年度の赤字が300万円、翌年が赤字はなくなったが利益がゼロ、翌々年は利益が150万円、その翌年も利益が150万円だったと仮定しましょう。3年間損失を繰り越せるわけなので、利益がでた3年目と4年目の事業年度の利益も1年目の赤字で相殺されます。

その結果、赤字の年はもちろん、利益が出た年でも所得税をゼロにすることができるわけです。

事業を開始した場合、当然最初は赤字から始まるでしょう。その後売上が上がるようになり、単月黒字化を達成し、最終的に累積損失がなくなった時点で会社は安定したということになります。こうした会社の成長のステージを考慮に入れると、3年間損失を繰越できるという点が青色申告の最大のメリットだと個人的には考えています。

起業・スタートアップを目標とする方必見!青色申告の大きなメリットである特別控除には2種類ある

青色申告のその他のメリットとしては、何があるのでしょうか?次には、節税効果のある特別控除が思い浮かびました。

そしてこの特別控除には、「65万円の青色申告特別控除」と「10万円の青色申告特別控除」の2種類があるのです。

「65万円の青色申告特別控除」と「10万円の青色申告特別控除」の違いはその名のとおり、控除額が65万円と10万円と大きく異なる点です。前者の方が、当然メリットは大きいわけです。

しかし反対に、前者は複式簿記が必要なのに対し、後者は簡易簿記で済むので後者の方が楽だということになります。

それでは「65万円の青色申告特別控除」と「10万円の青色申告特別控除」とどちらを選ぶべきなのでしょうか?

以前でしたら、65万円の控除が必要なぐらいの売上高が見込めるようになるまでは、「10万円の青色申告特別控除」を選ぶべきだとお答えしたでしょう。

しかし、白色申告の解説でも触れましたが、現在は多くの会社が会計ソフトを提供しています。その扱いは簡単で、売上や経費を入力するだけで8種類の帳簿が必要となる複式簿記も簡単に作成してくれます。つまり、手間は同じだけれども、複式も簡易簿記も同様に作成してくれるということです。

また、65万円控除の場合には賃貸対照表(BS)と損益計算書(PL)が必要となりますが、これも複雑なことを行ってなければ会計ソフトが作成してくれるでしょう。

そういうわけで、設立当初から「65万円の青色申告特別控除」を選択するというのが正解となるのではないでしょうか?

ただし、2020年からは紙ベースにプラスして、税務署の承認を受けたe-Taxによる電子申告や電磁的記録を行っていない場合の控除額は55万円に減額になるようですので、注意してくださいね。

未来の起業家・アントレプレナー注目!青色事業専従者控除とは?

その他のメリットとしては、青色事業専従者控除があります。家族の方を「青色事業専従者」として届け出ると、給与として経費に計上することができます。

配偶者の方が正社員で、その会社が副業を認めていない場合は、控除は難しいでしょう。しかし、副業を認可している会社に勤めているケースや派遣社員の場合、もちろん無職ならば可能です。6ヶ月以上事業を手伝っていること、生計を一つにしている親族であることを条件に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、認められるのです。

そうはいっても、税金逃れが目的で、利益を減らすために高額すぎる給与を提供することはNGです。税務署に目をつけられることにもなりかねませんので、注意が必要です。あくまでも、常識の範囲内ということで、お願い致します。

起業・スタートアップを考えている方必見!減価償却の特例による節税効果とは

その他の現在のみ有効なメリットとしては減価償却特例による節税があります。10万円以上のパソコンやプリンターなどの備品については、通常は定められた耐用年数(通常は5年ぐらいのものが多い)に基づいて分割償却する必要があります。

しかし、青色申告特例では30万円未満の仕事に必要だと認められた固定資産については、一括償却が認められています。しかも、1事業年度につき300万円まで、30万円のものなら10個まで、が損金に算入できるのです。

この特例は2020年3月31日まででしたが、2022年3月31日までに取得と、2年間延長されました。

その他のメリットの中では、第8回の「起業時の場所の決め方」で触れた家事関連費も青色申告ならでは、のものです。

家賃や通信費、光熱費なども事業で使用したと証明することが出来る分については、青色申告では家事関連費として必要経費に計上することが認められています。

特に自宅で開業する予定の方には、この家事関連費のメリットだけでも白色申告よりも青色申告をおすすめ致します!

これで12回に渡った、起業アドバイスは終了となります。起業までの準備については、これである程度は自信がついたのではないでしょうか?後は、アタッカーズ・ビジネススクールに入学するだけですね!

次回からは、映画から学ぶ起業のアドバイスが始まります。今回までの起業に必要なノウハウやテクニックではなく、より重要な心の持ち方についてのアドバイスとなっています。こちらもよろしくお願い致します。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。