映画から学ぶ副業・起業向けアドバイス
『ペイ・フォワード 可能の王国』 7点

2021/03/24

アタッカーズ・ビジネススクール(ABS)のシニア・女性等への映画から学ぶ副業・起業アドバイスのコラム。今回は、起業に成功した際にはその事実に奢らず、善意や親切を他人に施すべきと示唆してくれる『ペイ・フォワード 可能の王国』について、将来の起業家・投資家であるみなさんと共に見ていきましょう。

副業・起業を目標とする方への『ペイ・フォワード 可能の王国』の概要

『ペイ・フォワード 可能の王国』は、キャサリン・ライアン・ハイドの小説を映画化した2000年の作品です。自分が受けた思いやりや善意を別の3人の相手に渡していくという運動を背景に、心に傷を負った男女の恋を描きました。この「ペイ・フォワード」という運動の素晴らしさと、主人公の少年の境遇に感動して涙すること間違いのない感動作です。

米国最大の映画批評サイトRotten Tomatoes聴衆275,161人による平均スコアは4.01と高評価なっていますが、トップ批評家38人からは10点満点の評価は4.4と酷評されており、浅薄なお涙頂戴物とされているのは残念です。筆者の評価は7点で高くはありませんが、4点というのはひどすぎると思います。

主役の少年トレヴァーを演じたのが、名子役ハーレイ・ジョエル・オスメントです。1999年に死んだ人間が見える少年と精神科医との交流を描いたブルース・ウイリス共演の大ヒット作『シックス・センス』で世界的な人気者となっていました。この『ペイ・フォワード 可能の王国 』でも、12歳の子供とは思えない堂々たる演技を見せており、ハーレイの演技が作品の大きな魅力となっています。

トレヴァーの母親アーリーン役は、オスカー女優ヘレン・ハントです。92年から99年まで続いた大ヒットテレビシリーズ『あなたにムチュー』に主演、アメリカでは誰もが知るトップスターとなっていました。97年にはジャック・ニコルソン共演の大人のラブ・ストーリー『恋愛小説家』が大ヒットとなり、ニコルソンと共にアカデミー主演賞を受賞し、日本でも知名度をあげていました。『ペイ・フォワード 可能の王国』では、セクシーで、たくましく、子供思いで優しいアメリカ人の理想のような女性をはまり役で演じています。

トレヴァーが通う学校のシモネット先生役は、オスカー俳優ケヴィン・スペイシーです。95年に大ヒットサスペンス『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー助演男優賞を受賞、映画好きの間で知られるようになりました。その後97年にはジェイムズ・エルロイ原作の大ヒットサスペンス『L.A.コンフィデンシャル』で準主役を演じ、99年にはアカデミー作品賞の傑作『アメリカン・ビューティー』でアカデミー主演男優賞を受賞、日本でも一気に知名度をあげていました。『ペイ・フォワード 可能の王国 』では、顔の傷のため心を病んだ中年男の繊細な心を、見事に表現していた。

また、かつてのロック界のスーパースター、ジョン・ボン・ジョヴィが、トレヴァーの父親を演じています。

起業家・アントレプレナーを目指すみなさん向けの『ペイ・フォワード 可能の王国』のネタバレなしの途中までのストーリー

ネタバレなしの途中までのストーリーは、アメリカ・ラスベガスで始まります。中学一年生(七年生)のトレヴァー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、バーで働くアルコール依存症の母アーリーン(ヘレン・ハント)と二人で暮らしています。やはりアルコール依存症で暴力を奮う父(ジョン・ボン・ジョヴィ)が、家を出ていたためです。

トレヴァーの担任は、顔面に醜い火傷の跡が残るシモネット先生(ケヴィン・スペイシー)でした。ある日社会の授業でシモネット先生は「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら、何をする?」かと生徒達に問いかけます。幼稚な考えをだす生徒がほとんどだったのですが、トレヴァーは「ペイ・フォワード」という提案をしました。自分が受けた思いやりや善意を別の三人の相手に渡し、さらにそれぞれ親切を受けた者が別の三人に渡していくというものでした。

トレヴァーは薬物中毒の男、シモネット先生、いじめられている同級生を選び、「ペイ・フォワード」を実行するのでした。トレヴァー自身の「ペイ・フォワード」は上手くいかないように見えましたが、アーリーンらの手で「ペイ・フォワード」は着実に広がっていっきました。一方、アーリーンとシモネット先生はお互いに惹かれていましたが、大きな火傷を負っているシモネット先生は心を開きませんでした。しかしトレヴァーの企みで、二人は急接近していくのでした…。

『ペイ・フォワード 可能の王国』を観て起業・スタートアップを目指す方に気づいて頂きたい点

シモネット先生は、素晴らしい人物です。外見よりも内面を重視していると思われます。そんな人物でさえ、自分の外見を気にして心を開くことができないのです。劣等コンプレックスの根の深さを示唆しています。このコンプレックスが、特に宗教観が薄く地獄などの存在を信じていない日本では、キリスト教の7つの大罪である「嫉妬」を生むわけです。将来の起業家・投資家のみなさんに、コンプレックスを嫉妬につなげてはいけない、ダークサイドに落ちてはいかないと教示してくれています。

自分が受けた善意や思いやりを相手に返すのではなく、赤の他人に渡す、しかも一人ではなく三人に伝えるという発想が素晴らしいと思えました。渡す相手がネズミ算式に増えていくので、善意を受けた人全てがこの「ペイ・フォワード」を行うと、「ペイ・フォワード」はあっという間に広がっていくこととなります。なぜ現実の社会でこの「ペイ・フォワード」が行われていないのかが不思議なぐらいです。やはり「ペイ・フォワード」を行うには、勇気がいるということなのでしょうか?

起業・スタートアップに成功した暁には、ぜひ成功したことを天に感謝して、この映画のように3人でも、それが大変なら2人でもいいですが、善意や親切を他人に渡すことを使命としていただければ日本はもっとよくなっていくのではないでしょうか?成功したのは当たり前のように思い、おごっている方もよく見受けられるのが現状ですので。

アルコール依存症はアメリカでは大きな問題ですが、両親が依存症の子供のつらさが描かれています。家庭が崩壊している子供が暗く孤独なのは、当然といえるでしょう。そうした家庭が崩壊している子供は、通常は暴力など非行に走るのが常です。それが反対に、人々を救う運動を始めるという所に、感動を覚えます。自分の境遇が不幸であるのにもかかわらず、他人の幸せのために尽くすという素晴らしさを、教えてくれています。

反面、言い換えると、そうした子供がトレヴァーのように人々を救う良い子であるというのは、現実離れしすぎているという見方もあるでしょう。そして、ハーレイの子供とは思えない演技が、さらにそうした意識を助長するのかもしれません。純粋な気持ちを持っていないと、感動するどころかアホらしくて見ていられないという評価につながるのかもしれません。事実、アメリカの批評家の間では、残念ながら三人の名役者の演技ばかりが評価され、作品自体は非現実的ととらえられた事は、上記のRotten Tomatoesのトップ批評家の点数に表れています。。

小学生や中学生の子供に見せるべき、文部科学省推薦作品とでもいうべき作品かもしれないです。しかし、大人であっても純粋な心を持っている方には、おすすめできる作品といえるでしょう。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。