映画から学ぶ副業・起業向けアドバイス
『永遠の語らい 』

2021/10/04

アタッカーズ・ビジネススクールの、スタートアップを目指すシニア・女性・ミレニアル世代などへの映画から学ぶ副業・起業アドバイスのコラム。今回は、宗教や国籍に関わり無く人類が平和に過ごすことの重要さを示唆してくれる『永遠の語らい 』について、将来の起業家・投資家であるみなさんと共に見ていきましょう。

副業・起業を目標とする方への『永遠の語らい』の概要

『永遠の語らい』は2001年9月11日にニューヨークとワシントンで起きた9.11のテロに触発されて制作されたポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督の03年の作品です。イタリアのポンペイ、ギリシャのアテネ、トルコのイスタンブール、エジプトのカイロと古代文明を巡る親子の旅を背景に、現代が抱える問題を痛切にえぐった問題作です。

オリヴェイラ監督は1908年生まれで、当時は95歳という最高齢の現役監督でした。といっても本格的に映画監督として脚光を浴びたのはカンヌ映画祭の審査委員特別賞を受賞した90年の『ノン、あるいは支配の虚しい栄光』ですから、82歳の時という事になります。未来の起業家・アントレプレナーであるみなさんも、今からでも世界を代表する巨匠になるのも夢ではないのかも知れないですね。このオリヴェイラ監督がポルトガルの旧家を舞台とした4人の男女の愛が交錯する岩波ホールで上映された名作『家宝』(02年、03年公開)に続いて制作したのが、この『永遠の語らい』です。

米国最大の映画批評サイトRotten Tomatoes視聴者646人による平均スコアは、3.02であり今まで紹介してきた中でも最低点です。残念ながら、9.11の記憶を蘇らされるのか、アメリカ人からは全く評価されていない作品のようです

主人公の歴史学者である母親ローザ=マリア役が、オリヴィエイラのミューズであるレオノール・シルヴェイラです。93年にフロベールの『ボヴァリー夫人』を現代ポルトガルに置き換えたオリヴェイラ監督の代表作『アブラハム渓谷』でヒロインのエマを演じて以来、オリヴェイラ作品の常連として知られていました。

アメリカ人の船長役が、米国では演技派俳優の代表格と評価が高いジョン・マルコヴィッチです。ポール・ボウルスの同名小説を映画化したベルナルド・ベルトルッチ監督の『シェルタリング・スカイ』(90年)、スタインベックの名作を映画化した『二十日鼠と人間』(92年)、クリント・イーストウッド扮するシークレットエージェントと対決する殺し屋を演じたウォルフガング・ペーターゼン監督の『ザ・シークレット・サービス』(94年)、『マルコヴィッチの穴』(99年)などでアメリカを代表する性格俳優としてヨーロッパでも高い評価を受けていました。オリヴェイラ監督作品にはゲーテの『ファウスト』をモチーフにした人間に恋した悪魔と悪魔に誘惑される学者を描いたカトリーヌ・ドヌーヴ共演の『メフィストの誘い』(95年)以来の出演となりました。

フランス人の女性実業家デルフィーヌ役が、『シェルブールの雨傘』(63年)以来フランス映画界に君臨し続ける大女優カトリーヌ・ドヌーヴです。『メフィストの誘い』(95年)、交通事故で妻と娘夫婦を突然なくした老俳優が孫との暮らしで自らの人生に思いをめぐらす『家路』(01年)に続くオリヴェイラ監督作品への出演となりました。

イタリアのかつての有名なファッション・モデル、フランチェスカ役は、ベルトルッチ監督の名作『暗殺の森』(70年)でのドミニク・サンダとの女性同士のダンス・シーンが思い出されるステファニア・ サンドレッリです。

そしてギリシアの国民的歌手ヘレンを、『エレクトラ』(61年)『トロイアの女』(71年)『イフゲニア』(78年)のエウリピデスの悲劇三部作などで知られるギリシャの名女優イレーネ・パパスが演じています。

このヨーロッパの各国を代表する名女優と名優マルコヴィッチの共演が素晴らしいです。特にマルコヴィッチの洗練された優雅な演技から、彼がなぜヨーロッパでも高い評価を得ているのかがはっきりと理解できるでしょう。

起業家・アントレプレナーを目指すみなさん向けの『永遠の語らい』のネタバレなしの途中までのストーリー

ネタバレなしの途中までのストーリーは、ポルトガルで始まります。歴史学者のローザ=マリア(レオノール・シルヴェイラ)は、パイロットである夫が滞在しているインドのムンバイ(元のボンベイ)に向かうために7歳の娘マリア=ジョアナと共にポルトガルのリスボンから豪華客船に乗り込みました。大航海時代を築いたポルトガルの英雄エンリケ航海王子のモニュメントに見送られての出発です。この後船は、フランスのマルセイユ、イタリアのナポリ、ギリシャのアテネ、トルコのイスタンブール、エジプトのカイロに寄港していきます。

歴史学者のローザ=マリアは西洋文明の起源とも呼べるエジプト、ギリシャ、ローマ時代の遺跡を訪ねながら、娘にギリシャのホメロスの「オデュッセイア」やローマ神話の物語を話して聞かせます。まさに、歴史を巡る旅です。そして美人であるローザ=マリアと可愛らしいマリア=ジョアナは、アメリカ人の船長(ジョン・マルコヴィッチ)のディナーの席に招待されるという栄誉を受けます。

ここで彼等と同席したのがマルセイユから乗船したフランス人の女性実業家デルフィーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)、ナポリから乗船したかつてのイタリアの有名なファッション・モデルのフランチェスカ(ステファニア・サンドレッリ)、アテネから乗船したギリシアの国民的女優ヘレン(イレーネ・パパス)というセレブな面々でした。このディナーでは、皆がそれぞれ母国語で、それぞれの人生観を語り合うのでした。ディナーの席でマリア=ジョアナは船長から可愛い人形をプレゼントされ、人形を片時も離さないほど愛するようになっていきます。そして…。

『永遠の語らい』を観て起業・スタートアップを目指す方に気づいて頂きたい点

この船長のディナーの席ではそれぞれがお互いの人生観や文化について母国語のイタリア語、フランス語、英語、ギリシア語で会話をします。ヨーロッパのセレブにとっては歴史、教養、人生観などを身につけ、特にラテン系の人々は英語の他に、同起源のスペイン、フランス、イタリア、ポルトガル語をある程度話すことができ、ギリシャ語でさえある程度は理解できるのは当たり前ということを思い知らされます。そして、歴史に興味を持ち、教養を身に着けた人にとっては身震いするほどの素晴らしい会話が満喫できます。映画史に残る名シーンといえるでしょう。

この豪華客船では、国籍も文化も異なる人々がそれぞれを理解しあい、敬いあっているように見えます。しかし国籍も文化が違うといっても皆西欧人であり、キリスト教徒であるという点では一緒です。こうした平和な時間を奪ってしまうのが、宗教や価値観の違いだということになるのでしょうか?

アジア人、アフリカ人、西欧人、そしてキリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒、仏教徒などのすべての人類が一つのテーブルで、この船長のディナーのテーブルでのような時間をすごすことができるようになる時に、本当の平和が訪れるのかもしれないですね。未来の起業家・アントレプレナーの方に、まず平和があってこそビジネスがあるのだと示唆してくれています。

もちろん、軍需景気や復興需要というものが存在はしますが一過性のものであり、その後には不況が待っています。そして、将来起業をされる方が海外に進出する際には、ビジネスだけでなく、音楽や映画、ファッション、サッカーなど、欧米人と共通の話題を身につけることが必要だと教示しています。

非常に崇高な時間を過ごす事ができる名作です。また、ポンペイの遺跡、パルテノン神殿、ギザのピラミッド、聖ソフィア大聖堂など、観客は親子と共に観光気分を楽しめます。海外旅行に行くことができない現在こそ、鑑賞してみてはいかがでしょうか?歴史や文化、人生観などの話が苦手であっても旅行好きなら、また役者の演技が好きな映画好きの方ならば、十分に楽しめる作品といえるでしょう。

著者:ポッシュF
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもあり、今井氏と並ぶトップFXアナリストの西原宏一氏につけられたあだ名がポッシュ。FはFXのF。