映画から学ぶ起業・スタートアップ向けアドバイス
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』
掲載:2020/10/21
最終更新日:2020/10/21
※記事の内容や肩書は、講義時のものです
アタッカーズ・ビジネススクール(ABS)のシニア・女性等への映画から学ぶ起業アドバイスのコラム。今回は、起業は、仕事かプライベートでのパートナーができるまで待つべきかもと示唆してくれる『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』について、将来の起業家・アントレプレナーであるみなさんと共に見ていきましょう。
起業・スタートアップを目標とする方への『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の概要
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』は、二人の吸血鬼の数世紀に及ぶ生き様を描いたゴシック・ホラー作品です。アンデルセン童話の「赤ずきん」を新たな角度から解釈した狼男が登場する『狼の血族』(84年)で、この分野でも高く評価されていたアイルランドのニール・ジョーダン監督が手がけた1994年の作品です。
アン・ライスの小説『夜明けのヴァンパイア』を彼女自身の脚本で映画化したということですが、ストーリーは萩尾望都のカルト的名作漫画『ポーの一族』(72年~76年、16年~17年)にそっくりです。大老の濃い血をひくエドガー・ポーツネルが『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』ではレスタト、エドガーが家族を失い孤独となった後に一緒に時を巡るパートナーとして迎え入れたアラン・トワイライトが、レスタトに同じくパートナーとして迎えられたルイ、ヴァンパイアにはされませんでしたたが、エドガーとアランに赤ん坊の頃から10歳まで育てられたリデルが、二人に育てられたという意味でクローディアとして対比できます。エドガーの冷徹な性格と、アランの優しい性格も、レスタトとルイにそのまま当てはまります。
米国最大の映画批評サイトRotten Tomatoesの聴衆447,312人による平均スコアは4.12であり、高く評価された作品となっています。
主役のヴァンパイアのレスタトを演じたのは、『トップガン』(86年)でブレイク以来、『カクテル』(88年)、『7月4日に生まれて』(89年)、『ザ・ファーム 法律事務所』(93年)などでトップ・スターの地位を既に確立していたトム・クルーズです。
レスタトにパートナーに選ばれる青年ルイには、『リバー・ランズ・スルー・イット』(92年)でロバート・レッドフォードの再来とうたわれ、『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』(94年)で美形俳優としてアイドル的な人気を築きつつあったブラッド・ピットが抜擢されました。
二人に育てられた少女クローディア役は、将来『スパイダーマン』シリーズ(02年、03年、07年)や『マリー・アントワネット』(06年)でヒロインを演じることになる当時子役だったキルスティン・ダンストです。
ルイとクローディアがパリで出会うヴァンパイアの首領アルマンには、ペドロ・アルモドバル監督作品でスペインでは人気絶頂で、『愛と精霊の家』(93年)の娘の恋人役や『フィラデルフィア 』(93年)ではトム・ハンクス演ずる主人公のゲイの恋人役でアメリカでも注目を集めていたスペイン人セクシー俳優アントニオ・バンデラスが配役されています。
そして、現代のサンフランシスコでルイにインタビューするジャーナリストは、当時『カフス!』(92年)、『トゥルー・ロマンス』(93年)で人気急上昇中だったクリスチャン・スレーターが演じています。
全てのキャストが、はまり役といえるでしょう。クルーズは冷徹でクレバーなレスタトを、ブラピは男でも惚れる美青年を、ダンストは我儘で残酷さを併せ持つ少女を、バンデラスは黒のイメージもピッタリな残酷なヴァンパイアの首領を、スレーターは怖いもの知らずの野心満々の若者を見事に演じていました。
起業家・アントレプレナーを目指すみなさん向けの『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のネタバレなしの途中までのストーリー
ストーリーは、現代のサンフランシスコで始まります。ジャーナリスト志望のクリス(クリスチャン・スレイター)が、ヴァンパイアである美青年ルイ(ブラッド・ピット)へインタビューを始め、ルイはレスタトと出会って以来の200年にも及ぶ出来事を語り始めます。
18世紀末のアメリカのニューオリンズで、ルイはヴァンパイアのレスタト(トム・クルーズ)と出会います。最愛の妻と娘を亡くして絶望していたルイは、レスタトと共に永遠に生きる道を選ぶのでした。しかし、残酷な殺人鬼のレスタトと異なり、人間を殺して血を吸う生活に心優しいルイはなかなか慣れませんでした。レスタトはルイを元気づけるために、少女クローディア(キルスティン・ダンスト)を仲間にします。
しかし、年をとっても成長しないクローディアは次第に苛立ちを強め、ある計画を実行します…。その後、同族を求めてヨーロッパに渡ったルイとクローディアは、パリでアルマン(アントニオ・バンデラス)を首領とする吸血鬼の一族と出会うのですが…。
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を観て起業・スタートアップを目指す方に気づいて頂きたい点
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』が教えてくれるのは、やはりどんなに強靭な精神を持っていても孤独には勝てないということでしょう。人生を共にするパートナーは、ヴァンパイアにさえ、か弱い人間にはもちろん、必要な存在だといえるのではないでしょうか?
これから起業・スタートアップされるみなさんには、可能でしたら一人ではなく、二人以上で起業することをオススメ致します。筆者の経験でも、一人での起業はまず仕事自体においても大変です。12回にわたる起業アドバイスで説明しましたように、ビジネス・プラン作成、定款作成、印鑑選びなどを全て一人でこなさなくてはならなくなります。また、ご自身でマルチの技能を持っている方ならばともかく、そうでないとしたら、ご自分に欠けている技能についてはサポートしてくれる方が必要となります。もちろん外部の方でもいいのですが、起業への情熱や信頼性を考えると、内部に人材を確保する方がよいでしょう。
ただし、ここで重要なのは、起業される会社のミッションやヴィジョンを共有できているかどうかです。ご自身が世の中の役に立ちたいというミッションを掲げても、パートナー候補の方がお金儲けしか考えていないというようにヴィジョンが正反対の場合には、共同設立者ではなく外部顧問となっていただいたほうがベターでしょう。
そして、この『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』に描かれているように、仕事面以上に精神面において起業にはパートナーが必要だということです。上記の理由によりお一人で起業することになるのならば、御自分を内助の功で支えてくれるプライベートなパートナーがいるほうが好ましいと思います。極端な言い方をすると、仕事でもプライベートでも信頼できるパートナーがいないのならば、よほどご自分の精神力が強靭だという自信がない限りは、パートナーができるまで起業を思いとどまったほうがよいのかもしれません。
それほどに、起業は孤独であり、最初のうちは仕事ばかりの生活になるのですから、よほどの覚悟が必要だということです。
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の素晴らしさとしてまず挙げられるのは、名作漫画『ポーの一族』と似通った素晴らしいストーリーでしょう。観客は、どんどん作品に引き込まれていくでしょう。次には、18世紀末のアメリカのニューオリンズやパリの、その時代を再現した華やかな衣装や街並みも忘れられません。そして、全編をいろどる寒々とさせられる雰囲気。ジョーダンの演出は、流石といえるでしょう。もちろん、今となってはギャラの問題で不可能であろう、豪華なキャストは特筆ものです。
近年、ケイト・ベッキンセール主演の『アンダーワールド』シリーズ(03年、06年、09年)やクリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン主演の『トワイライト』シリーズ(08年、09年、10年)など、アメリカではヴァンパイアものがブームになっていました。アクションが主眼の『アンダーワールド』や恋愛をテーマとする『トワイライト』と比べると、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』は遥かに内容が濃く、充実した作品となっています。
『アンダーワールド』や『トワイライト』同様、目を覆うような怖いシーンはそれほどないので、ホラー映画ファンにはおすすめはできませんが、反対に誰にでも受け入れられやすい作品といえるでしょう。
著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。
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