海外企業紹介

起業・投資のためのシリコンバレーの企業紹介
グーグルX(Google X)

掲載:2020/12/11

最終更新日:2020/12/11

※記事の内容や肩書は、講義時のものです

アタッカーズ・ビジネススクールのスタートアップを目指すシニア・女性等への起業のアイデアとなるシリコンバレーの注目企業紹介のコラム。今回は、Google X(グーグルX)について解説します。

Google X(グーグルX)がアルファベットの将来を担っている!

Google X(グーグルX、現在は単にX)は、今日ではAlphabet(アルファベット)、かつてはGoogle Contact Lens(グーグル・コンタクト・レンズ)の子会社であり、機密施設において、次世代技術の開発を担当しています。場所はベイエリアのどこかというだけで、公表されていません。

これまで解説してきましたように、Dandelion Energy(ダンデライオン)Makani(マカニ)Wing(ウイング)Loon(ルーン)Glass(グラス)Waymo(ウェイモ)などは、すべて子会社として独立する以前は、X傘下のプロジェクトだったわけです。現在まで100以上のプロジェクト取り組んできたそうです。

最高責任者はファウンダーで実質No.1のブリン氏であり、アルファベットがいかにGoogle X(グーグルX)を重要視しているかが、みなさんにもご理解頂けるのではないでしょうか?M&Aで統合される企業を除くと、ほとんどのアルファベットの子会社がGoogle X(グーグルX)から独立しているわけですから、アルファベットの将来を担っていると申し上げても過言ではないでしょう。

Google X(グーグルX)とは?

Google X(グーグルX)は、2010年に設立されました。現在Google Nest(ネストラボ)のCTOである日本人の松岡陽子氏が3人の共同設立者に名を連ねているというのは同じ日本人として誇らしいことですよね。Google Nest(ネストラボ)に移籍する前はGlass(グラス)とメディカル領域を担当されていたそうで、その貢献度の高さが伺えます。

公表されているプロジェクトは以下の8つに分けられるそうです。自動運転とロボット・カー(ウェイモ)AR用HMD(グラス)無人ドローン宅配(ウイング)空中風力発電(マカニ)気球によるネットワーク接続(ルーン)、血糖値管理用コンタクトレンズ、音声認識、AIだそうです。

しかし、地熱発電のDandelion Energy(ダンデライオン・エナジー)のように突然その存在が明らかにされる例もあり、多くの秘密プロジェクトが進行していると考えられます。

2020年時点では光線によるインターネット接続を目指すTaara(ターラ)というプロジェクトも公開されています。ビッグデータとマシンラーニングを使用した、コンピュータ化された農業へのプロジェクトも進行しているようです。

プラスチックの方が魚よりも多くなってしまうという現状を危惧した、海を保護して海洋生物の生命の維持を目指すという神のような使命を抱いたTidal(ティダル)というプロジェクトも発表されました。

Google X(グーグルX)はアルファベット同様に、世の中の役に立つことを目標に掲げています。

ゴールは世界の現在の技術では解決できない最も重要な問題に、10%ではなく10倍も改善するほどのインパクトを与えることだそうです。そのため、リスクのある多くのプロジェクトに、高い志のもと、スピード感を持って取り組んでいるとのことです。

Google X(グーグルX)が、現在では実現されていない数々の夢の発明に、流石に無理じゃないかと思ってしまうような方法で、挑戦し続けている理由がみなさんにもご理解頂けたのではないでしょうか?

Google X(グーグルX)の特徴とは?

このMoonshot factory(ムーンショット・ファクトリー)と呼ばれる現場で働いている研究員のバックグラウンドはおそらく世界一多彩といっても良いのではないでしょうか?

例えば人口密度の高い沿岸部の大都市での住宅不足の問題を解決するプロジェクトには、蛇のような動きをするロボットのデザイナー、気球科学者、液晶デザイナー、心理学者、スタートレックなどのSF作品に出てくる異次元世界の研究者、電子物質の専門家などが集まりました。

そして、住宅の供給を増やすメリットはなにか、交通費が高すぎるのが問題なのか、都市に住むのが幸福なのかなどの議論から、新幹線のエルゴノミックス・デザインやアメリカ人の郊外を好む文化にまで話が飛びます。

さらに、交通網に費用を投じて郊外を住みやすくする、小さく隣接していても問題がないように住居を防音にする、機械式駐車場のように縦に並ぶ移動式住居を普及するなどの、いろいろな解決法が提示されました。

こうした、一見無意味な研究が許可されないどころか、推奨されている地球上で唯一の機関がGoogle X(グーグルX)ではないかと言われているそうです。

こうした未解決な困難な問題を解決するために最初に行うのは、ブレストではなく、正しい答えを導き出すためのハードワークなのだそうです。

すぐには必要ないという理由で現在は却下されてしまいましたが、宇宙エレベーターや映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場した浮遊するスケボーであるホーバー・ボードなどという途方もないプロジェクトも以前は存在していたのです。

Google X(グーグルX)のプロジェクトは一見ランダムに見えますが、そのアイデアは全て3つの原理に基づいているそうです。とてつもない問題を引き起こし、画期的な解決法を提供するが、そのためにはある程度は開発可能な技術を使用することがマストというものです。

一言で言うと、非常に困難だが独創的で変革をもたらす壮大な計画、いわゆるムーンショットでなければならないのです。薄っぺらで、不可能な、ちっぽけなものは認可されないということです。

著者:松田遼司
東京大学卒業後、世界のトップ20に入るアイビー・リーグのMBA修了。外資系IT企業のアナリスト、エグゼクティブ、Web社長等を歴任。3度起業し、2度のエグジットに成功している。
FX業界の重鎮である今井雅人氏の5冊の著書を再構成・無料公開した「FX初心者の資産形成・運用向け今井流FX入門・始め方と口座比較」の講義解説者でもある。

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